20170324 社民党松本総支部街角トーク1〜中川ひろじ代表
3月22日信州大学又坂常人名誉教授のお話を聞く。以下要旨(文責:中川)
1、憲法は権力者を拘束する規範であるが、低下し立憲主義の危機である。大学の自由も集中的に攻撃されている。
2、新安保法制法の問題 ①政府解釈の変更により違憲立法がされるという実質的改憲が行われたことは法的クーデターといえる。②かつて憲法の番人と言われた内閣法制局が変質し、行政部内における立憲的コントロール機能が喪失。③圧倒的与党の数の力で議会によるチェックが機能しない。④日本におっける憲法審査は具体的な事件がないと憲法審査が行われない。
3、刑事法「改革」
(1)特定秘密保護法の制定 ①行政機関による「指定」による行政情報の秘密化(「実質秘」概念の否定)、②指定範囲の広大さ(防衛、外交、テロ関連情報、特定有害活動)、特定有害活動には定義がないので歯止めがない、③重罰化 現行:1年以下の懲役または10万円以下の罰金→最高10年以下の懲役または50万円以下の罰金)、④共謀・教唆・扇動も処罰、取材活動の規制
(2)刑事司法取引の導入
(3)通信傍受法改定 ①通信傍受(盗聴)の範囲の一挙的拡大・集団犯罪から一般的犯罪に拡大 従来:薬物・銃器・組織的犯罪・集団密航→+爆発物取締罰則違反・現住建造物等放火・殺人・傷害・傷害致死・逮捕監禁・逮捕等致死傷・誘拐・人身売買・詐欺・恐喝・児童買春・ポルノ禁止法違反 (捜査令状が必要であるが簡単に出る) ②傍受手続きの簡略化 従来:通信事業者の施設で事業者側の立会人の監視下で実施→通信事業者から警察官署へ自動転送、監視人不要 ③プライバシー侵害の危機、共謀罪とのセットで一億総監視社会へ
(4)共謀罪 ①処罰対象の膨大さ 277の犯罪(刑法等の自然犯だけではなく多くの行政犯も含む) ②行為・結果ではなく、「共謀」という内心の意思について処罰可能、従来の刑法の基本原則を大きく逸脱、治安維持法の復活、「準備行為」概念は歯止めにならない ③団体認定の恣意性 ④適正手続原則、思想信条の自由を侵害する危険性
4、憲法の危機と政治の課題
国家主義的な統制体制を確立をめざし明文改憲への足慣らしが行われている。背景には経済社会の全般的悪化、外圧の高まり、「経済」を中心とする国家統合軸の揺らぎ、「福祉国家」にかわる新しい物語が提示できないため、統制を強化し対外武力進出・戦争へ突き進む。反戦反国家主義勢力の政治的拡大するためには、生活者のリアルな実感に根差した政策提示と運動展開が必要。
いわゆる「共謀罪」の新設を含む組織犯罪処罰法の改正案が閣議決定された3月22日夕方、戦争をさせない1000人委員会や、希望長野ネット、松本地区護憲連合などが街頭から共謀罪の危険性について訴えました。反応はあまり良いとは言えません。「そもそも共謀罪って何?」「犯罪を計画することはダメ」「普通の人は犯罪を計画することはない」などの受け止めがされているように思います。
「共謀罪」の新設によって、この国は警察による監視社会に変わることの意味をもっと考えてもらう必要があるのではないかと思います。先日最高裁により、「捜査令状のないGPSを使った捜査は憲法違反」の判決が出されていますが、組織犯罪処罰法の改正により警察による盗聴の拡大や密告による冤罪の拡大が危惧されます。
私鉄中小は今日が一斉回答日です。今日まで交渉を積み重ねてきました。前進した回答に向け総決起集会が開催され社民党を代表して激励に行ってきました。運転手不足の中で長時間労働を強いられている問題は、ヤマト運輸労組でも労使が解決に向けて動き出したことがマスコミで報道されています。運輸関係の労働者の賃金水準は、1990年台の物流2法の改正やタクシー、貸切バスの規制緩和によって過当競争となった影響を受け、全産業労働者平均の半分です。アルピコ労組は、労働力不足を解消するためにも、また安心・安全なサービスを提供する労働にみあった公正な賃上げを求めています。格差と貧困の解消に向け、がんばれ労働者!(集会の様子です)
20170321 戦争するクニNO!平和を守る岡田の会〜月例のスタンディング〜中川ひろじさんアピール
長野労働大学などが主催する政治・経済公開講座があり参加しました。演題は「安倍政権をどう捉えるか?」で講師は足立康次さんです。足立さんとは自治労青年部運動時代からの仲間でもあります。
私の周りでは「アベ政治を許さない」スタンディングをはじめ、戦争法制に反対する運動など、極めて安倍政権に対する批判は強い。しかしマスコミの世論調査をみると森友問題が出てくる前までは60%台という高い支持を受けている。いったいなぜだろう?というのが問題意識としてあります。
この点について講師は①ネット内の徹底した情報収集と分析、対策を行っている。②マスコミ操作、背景には新聞販売部数が15年間で900万部減っていること、新聞広告収入が半分以下になっていること、一方でネット広告は590億円から1兆1504億円に飛躍的な伸びを示していることが指摘されました。③「資本と労働者・勤労国民の上に立つ」かのようにふるまっていること、と分析した。この点について「世論操作があるのではないか」という意見も出されました。安倍政権がやりたいことをやるためには、独占資本の後ろ盾がが不可欠で「日本を世界で一番企業が活躍できる国に」といい、残業代ゼロ法案・解雇規制の緩和・裁量労働制の拡大・労働者の個人事業主化などを進めている。もちろん日米同盟の枠の中。加えて公務員制度改革で内閣人事庁ができて官邸が官僚をコントロールできるように変わったことも大きいという指摘もされた。
経済のグローバル化が進み、日本企業も海外生産による営業外収益が増えている。日本経済は、国内生産の低下、少子化による労働者不足という構造的な問題に加えて、正規労働者の減少・非正規労働者の増加・長時間労働により労働者の再生産ができない状態にまでなっている危機的な状況である。労働者が犠牲となる、こうしたむき出しの資本主義的な競争に歯止めをかけるのが労働者運動でありそれを体現する政治闘争であったが、そこが決定的に弱い。労働組合の組織率の低下、賃上げ闘争の産別自決方針、権利闘争の低下などが、その原因といえよう。
アメリカのトランプ大統領の選出、イギリスのEU離脱などは、グローバル化のなかで進む貧困と格差の拡大が、その背景にあるといわれている。けっして日本も例外ではなく、日本独占資本の海外生産へのシフトとその生産体制を守るための戦争法の整備、国内労働者の格差と貧困の拡大、これらを背景に安倍政権への支持率が高くなっている。特に政治改革によって小選挙区制が導入され、それまでの「自民党のやり過ぎにお灸をすえる」投票行為は、「勝ち馬に乗る」投票行為に変わったことは決定的である。
根本的には独占資本の際限のない競争に対する歯止めをかける労働者運動を再構築することである。労働者としての権利をはじめ国民の基本的人権をまもる主張を広げていくことである。個別企業は、自分の企業だけが経費増になることはできない。社会保障や税の負担、賃上げ、非正規の正規化など労働者運動の結果としてすべての企業が同じように受け入れる状況を、いかにつくりだすかにかかっている。
少子化の問題も雇用と社会保障の問題である。働いても働いても生活保護費よりも稼げないのでは結婚して子どもをつくるという条件はない。子育て支援政策や奨学金問題も、根幹は雇用と社会保障の問題であり、ここに大胆に切り込む政策とそれを支え推進する労働者運動をつくることが課題だと私は考えます。
2月13日、松本市勤労会館2F第4会議室で第5回憲法ゼミが行われ、16人が出席しました。
■第3章 国民の権利と義務 第31条~40条
・レポーター、参加者の問題提起
改憲草案第31条「何人も、法律の定める適正な手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない」・・「適正」が加筆されることの意味は?
改憲草案第34条「正当な理由がなく、若しくは理由を直ちに告げられることなく、又は直ちに弁護人に依頼する権利を与えられることなく、抑留され又は拘禁されない」・・抑留・拘禁の条件が緩和されている。」
改憲草案第36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」・・「絶対」をはずすことで必要であればいいということになる。
・成澤孝人先生のコメント
31条と18条は、人身の自由の総則的規定と言われている。31条は適正と書いてない。なぜかというと、この憲法のもとはアメリカ人の法律家が書いている。デュウプロセス(due process)条項と言われている。デュウプロセスとは「適正手続き」ということ。アメリカ憲法の人権条項に修正5条と修正14条に出てくる。20世紀初頭、アメリカの最高裁判所はデュウプロセス条項を使って財産権の保護をしていく。デュウプロセスによらなければ生命、自由、財産を奪われないという条項を使って、労働者の保護をする法律を違憲にしていく。30年後のニューディールで覆されるが、そういう歴史がある。憲法を起草したアメリカ人は、その歴史をわかっていた。だから、わざわざここにデュウプロセスと入れなかった。裁判官がデュウプロセスを使って財産権保護をし、労働者を保護する法律を違憲にするという懸念をもっていた。
その結果、大事なことがすっとんだ、日本の特殊な問題としての適正手続きというものは戦前の歴史からあったはずだから。これは大問題ですが、日本の憲法学の成果として、ここにはデュウという言葉が入っていると主張して裁判所も認めている。実際には「適正」と入っていると考えていい。「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と書いているが、このまま読めば「法律で定めれば生命、自由を奪ってもいい」と読めてしまう。しかし戦後の公法学ではここには適正という言葉が入っていると主張して、今はもうここに適正という言葉が入っていると考えられている。
とすると自民党の改正草案は、そこから考えると一歩も二歩も後退している。「法律の定める適正な手続き」になっている。憲法上の適正な手続きとは何かという問題はあり議論されている。法治国家というと法律によって運営される国家ということになるので、悪法も法なりという危険性がある。法の支配とは、法律の上にある法(rule of law)、国会がつくる上位に法があるという概念。憲法と言ってもいい。適正手続きの一番典型的なことは、告知聴聞といいますが、権力者が市民に不利益となる権力行使をするときには、「必ず告知をして弁解の機会を与える」ということが核心であり、行き着く先に公開裁判がある。裁判は最高の手続きであるが、そこへ行くまでの手続きが大事であって、警察が出てくるとき、検察が出てくるとき、必ず「こういう理由で」と出てくる。
そうすると34条は非常に問題だ。(改憲草案)「正当な理由がなく、若しくは理由を直ちに告げられることなく、又は直ちに弁護人に依頼する権利を与えられることなく、抑留され又は拘禁されない」だから、どれか一つやればいいという話。
31条から41条まで人身の自由について書いている。自民党でさえ、ここは基本的には変えられないと考えているが、根本的な31条と34条を変えてきている。36条「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」の「絶対」を外している。死刑が残虐な刑であることから死刑廃止論があるため、「絶対」を外してきているかもしれない。「絶対」という言葉を外すのは、「拷問するんじゃない」と思われる。拷問を受けたとき、「絶対にこれを禁ずる」が「これを禁ずる」と変わって、「絶対ではない」と変わってしまう。
31条から40条までは重厚な規定であるにもかかわらず、日本の司法はずっと問題を抱えている。その中でも冤罪を生むのが代用監獄です。自白が強要される。可視化はされたけれど、司法取引が導入された。これは共謀罪に関係してくるが、誰かがうその自白をして人を陥れることが可能なってくる。
(沖縄新基地建設反対のリーダー不当逮捕された)山城さんは、何とかしないといけない。おかしな逮捕だということを言っていかなればならない。私は2004年立川テント村事件で関わりましたが、捕まっている人を助ける運動は非常に苦しい。国民の支持が必要。立川テント村事件では朝日新聞が書いてくれ話題になったが、それでも75日間拘束された。大阪駅事件、大阪駅前でがれき受け入れ反対のビラを配っていた。ビラを配り終わった後、市役所へ行くためコンコースを通行した。その時駅員が止めようとして押し問答になり、その時は通ってしまうが、後日令状逮捕となる。しかも実際はビラを配っていなかった阪内大の先生も礼状逮捕された。自宅も研究室も家宅捜査された。結果として無罪となった。大阪駅事件ではビデオが残っていて、これは冤罪だと分かった。逮捕されている人を助けることは相当苦しい。市民の声が必要。あわせて、がれき反対運動救援運動になってしまう。運動つぶしになる。共謀罪ができれば、必ずそうなる。
マイルドな変化に見えるけれど31条と34条と36条の変更は大きな変更である。
■第4章 国会 第41条~51条
・レポーター、参加者の問題提起
第44条に障害の有無を入れている。改憲草案第47条「選挙区、投票の方法その他両議院の選挙に関する事項は、法律で定める。この場合においては、各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない。」は、こんなきれいごとでは決められない。
小選挙区制は違憲ではないのか。投票率が低すぎて当選しても無効ではないか。
・成澤孝人先生のコメント
一票の格差問題は第14条を根拠にしている。最高裁が珍しく違憲判断をした。政治に対してものを申してきた領域。小選挙区制ができたことによって一票の格差を人口差で分けることが本当に日本社会にとっていいことかという問題はある。つまり都市部の意見ばかりが通ることになる。中選挙区制では野党も議席をとれたので全体としてバランスがとれていた。都市部の意見が日本国全体の運命を決めてしまうという問題がいま出てきている。改正案は最高裁が言っていることをそのまま書いただけ。学説は1対1。憲法学もこの領域をちゃんと考えてこなかった。日本のように都市部と田舎の人口が偏在している状況で本当に1票の価値を実現したら、田舎の声は国会で無視される危険性がある。自民党は都市部で勝てるという自信がある。
43条の「全国民を代表する」という部分とぶつかる。1対2までは合憲。どう見るのか。小選挙区制は首相の強い権力と結びついている。しかし小選挙区制は違憲ではないと言われていきた。
「全国民を代表する」は、歴史的には選挙区で選ばれても選挙区の代表者ではなく全国民の代表であるという意味がある。間接民主制を規定する表現。したがって小選挙区制は直接民主主義的であるから43条とぶつかるという言い方は出来る。
(文責:中川博司)
【速報】山城博治議長を保釈 約5カ月ぶり、支援者と抱き合い喜ぶ米軍基地建設への反対運動中に逮捕・起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)=威力業務妨害罪などで公判中=は18日午後8時ごろ、勾留されていた那覇拘置支所から保釈された。支所前で待っていた支援者らと抱き合って喜んだ。沖縄タイムス2017年(平成29年) 3月18日
名護市辺野古の新基地建設や米軍北部訓練場ヘリパッド建設への抗議活動を巡り、威力業務妨害や公務執行妨害・傷害、器物損壊の罪で起訴され、約5カ月勾留が続いている沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)について、福岡高裁那覇支部は18日午後、地検の抗告を退ける決定をした。山城議長は保釈金を納付し、同日午後8時ごろ、那覇拘置支所を出た。集まった支持者らが拍手で出迎えた。那覇地裁が17日、保釈を認める決定を出していたが、地検が同決定を不服として同日、高裁那覇支部に抗告していた。【琉球新報電子版】【電子版号外】