リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

備えあれば・・・

2005年10月09日 23時38分12秒 | 音楽系
明日のコンサートのために,テオルボとアーチリュートの両方ともフレットを全部巻き替えました。テオルボはもうゆるゆるだったので仕方なく(笑)巻き替えたんですが,まぁこの際アーチリュートもやっちまうかって感じで,結局2台とも巻き替えました。

フレット巻きは結構時間がかかるし面倒なんですが,効果は思いの他大です。弦は直前には替えることができませんが,フレットは直前でも大丈夫です。それでもって,同じ古弦でも音は格段によくなります。弦を替えるより,フレットをマメに替えていた方が楽器はいい音がしていますよ。

私はコンサートをするときは必ず楽器のメインテナンスセットを持っていきます。メインテナンスセットには,弦,フレット,工具(ペンチ,爪切り,ヤスリ,はんだごて)を入れてあります。これを持っていったお陰で難を免れたことが今までに何回もあります。本番直前に1弦がプッツン!とかコンサートが始まって三分の一くらいのところでフレットが切れたとか・・・(笑)

本番30分前の1弦プッツンはもちろん即座に交換しましたが,いくらなんでも本番ではゆるんできます。その時はヴァイスのイ長調のソナタから何曲か弾きましたが,皆長い曲なので,繰り返しをしているともちません。仕方がないのでくり返しを省略して,曲間では全て調弦をしながら無事(これではあまり無事ではないですね(笑))演奏を終えました。

コンサート途中のフレットプッツンのときは,

「おっと,何か変な音がしましたね」

と平然と(本当はあせりまくり)言って演奏を中断し,

「リュートって,昔からこういうことってよくあるんですよね。(ホントはないない)ま,これでは弾けませんので,プログラムを変更してここでちょっと休憩を取りましょう・・・」

とかなんとか言って,強引に休憩にして,控えの部屋で必死になってフレットを巻きました。

備えあれば憂いなしということですが,まぁ何かと大変なリュート奏者です。