リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

プログラム作り

2005年10月25日 13時07分20秒 | 音楽系
日曜日に東京大学で行うレクチャーコンサートのプログラムを書き終えました。作曲の年代を正確に書いた方がいいと思いまして,調べていきましたら意外な事実が出てきました。って単にうろ覚えや思いこみが多かっただけなんですけどね。

カッチーニとダウランドはどちらが年上か?
イメージ的にはカッチーニでしょうが,なんとカッチーニ1550年頃,ダウランド1562年頃(諸説あるようですが)なんですねぇ。え,そんなこと知ってるよって。はい。

愛らしいリュート二重奏曲,ロシニョルの成立は16世紀後半?
この曲のオリジナルは大英図書館にあるジェーン・ピッカリング・リュート写本です。これの成立が,ポールマンの「ラウテ・テオルベ・キタローネ」という本で調べてみますと1616年頃とありました。意外と遅いですね。てっきり16世紀後半だと思ってました。もちろん作品の成立は16世紀の可能性が大いにありますけど,一応オリジナルソース成立でもって作品の成立としているもんで。

バッハの1006番のガヴォット「トラベルセット」(本当はロンド風ガヴォットです)は,角倉一朗のバッハ作品総目録によりますと,ヴァイオリン版は1720年完成,リュート版(1006a)は1736/7年とありました。なるほど,一応一世紀を3つに分けて,前半,中頃,後半(あ,この分け方も何か変ですね。ま,いいか)とやっていますので,1006であれば17世紀前半,1006aであれば17世紀中頃になるわけですね。うーん,1006aの成立はもっと前だと思っていたんだけどなぁ。

ガロのシャコンヌ「彗星」は,ポールマンの本にも言及がなく,ツリーエディションのファクシミリ版にも解説がないので,オリジナルの成立が特定できませんが,これは絶対1682年以降でしょう。この副題の彗星は多分ハレー彗星のことを指すんじゃないかと思うんですけどね。調べてみましたら17世紀の頃の再接近は1682年でした。このシャコンヌはいきなり7度の和音から始まるという異色の曲ですが,彗星の引力で少し脳の回路が一時的に変化してしまったような感じがします。ちょっとこじつけがましいかな。(笑)