リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

コープマン

2005年10月01日 23時49分32秒 | 音楽系
アマゾンに注文してあった,トン・コープマン(チェンバロ)の平均律第2巻がとどきました。古い録音なので2枚組みで1890円と格安です。第1巻は娘が買って置いていったもの聴きましたが,めちゃくちゃうまい部分と無神経な部分が入り交じったある意味不思議なCDでした。

例えば,第7番変ホ長調のフーガのテーマの終わりの部分なんか,まるでチェンバロに強弱の表現ができるかのように弾いていて,なるほどこんな手があったのかと思わせる弾き方です。この部分はあまり考えずに弾くと音の高い裏拍にアクセントがついたように聞こえたり,無機的に聞こえたりしがちです。(ってどの部分かわかります?)

7番みたいにある意味天才的なうまさで弾いているかと思うと,別の曲ではものすごく無神経に弾いている部分があって,何か分裂気味(笑)なんですね。でも第1巻の演奏に天才的な部分がある以上すごく気になっていて,是非第2巻はどのように弾いているかが知りたかったので買ったわけです。

聴いてみて驚いたことに,第2巻では第1巻の無神経ぶりが全く影を潜めて,本当に豊かなひらめきにあふれ,技術的にも繊細・周到な弾き方ですごく安定しているのです。この違いはいったい何なんでしょう。録音の仕方もかなり違うので,録音日時や場所を見ましたら,これがほとんど同じなんです。てっきり半年くらい時間をおいたのかと思いました

うーん,彼は日によって相当やることが異なるとか演奏に波のある演奏家なんでしょうか。そのあたりはよく分かりませんが,はっきりしているのは第2巻の演奏が素晴らしく,平均律を聴く楽しみがまた増えたことです。録音は1982年ですからもうかなり前です。もう一回今度は波がないように第1巻をもう一度録音し直してほしいものです。