リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

またもうひとつ弦をめぐる状況

2021年04月13日 13時59分52秒 | 音楽系


部屋の整理をしていたら出てきました。(笑)1977年か78年頃だと思います。左足を台に乗せた構え方がまだギター式です。楽器はロンドンのリード・ガルブレイス作のスワンネックのドイツ・バロックリュートです。私にとっては2台めのバロックリュートです。この時代ですから弦はピラミッド社のものでバスは全て金属巻き弦です。72年に初めてリュートを手にして以来弦の選択については様々な試みを続けて今に至っています。(リードは先ごろ亡くなったジュリアン・ブリームが使っていたことで知られるホセ・ルビオの養子です。76年にロンドンの彼の工房を訪ねたことがありましたが、今もお元気なんでしょうか。歳は私と変わらないくらいだと思います。)

さて私が知っている演奏家(主にヨーロッパで活躍している人です)の弦の使用状況を最新情報に基づいて書いてみましょう。

ベテランプロA
何年か前にオリジナルバロックリュートを入手。その楽器用にオールガット(バスはピストイ)を張るも、最近は少し変えて、バス弦だけ、ピラミッドの金属巻き弦をラノリンオイル処理をして音を殺した弦を使用。現代製作のレプリカ楽器には合成樹脂、金属巻き弦。

ベテランプロB
ガットは使わない。バス弦にはカーボンを使っていた時代があったが、最近はアキラのCD弦を使っている。

ベテランプロC
いままでの録音全てがオールガット弦。バス弦はロンドンのストッパーニ氏製作の弦やガムートのギンプ弦を使い、最近のアルバムでは楽器もバス弦が1本ずつ長くなっていくオランダ式の楽器を使用してガットのバス弦の響きの問題に対処している。

ベテランプロD
バロックリュートでは合成樹脂、金属巻き弦を使用。バスが響き過ぎるときは巧みな消音テクニックで対処。ヴィウェラにはカーボン弦を多用。ガット弦への指向はない。

ベテランプロE
何年か前にそれまでの爪弾き+合成樹脂金属巻き弦からオールガット弦に転向。様々な試行の末現在はバスにはガムート社のピストイを使用。合成樹脂弦を使うことはない。