リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

通奏低音用例

2021年06月20日 11時52分56秒 | 音楽系
通奏低音というのはバロック音楽の根幹をなすものですが、日本語では文学的表現として使われることばです。広辞苑第5版には音楽用語としての説明しか載っていませんが、精選版日本国語大辞典には音楽関連の説明に加えて、次のような語義が掲載されています。

「比喩的に、物事の底流にあって、知らない間に全体に影響を与えるような雰囲気をいう」

私が理解している通奏低音、もちろん音楽的な意味ですが、とは若干ずれがあるような感じがします。少し前にはこの意味で通奏低音用例がちょくちょくあって、面白いので用例を集めていましたが、最近ではあまり見られなくなりました。

それが少し前の新聞の書評欄で、久々に獲物をゲットです。猪木武徳著、「社会思想としてのクラシック音楽」の書評で評者は経営学者の中沢孝夫氏。

引用-----------------------
バッハからショスタコーヴィチまでの名曲を丹念に跡づけながら、著者がアダム・スミスやトクヴィルなどを介して、通奏低音として伝えてくるのは、デモクラシーや市場経済の意味である。
引用終わり--------------

うーむ、何のことかさっぱりわかりません。書評全体を何回も読んでみましたが、どういう本なのかという像が結びません。評者のレートは★5つ、上半期、最良の収穫本とありますので、いい本なんでしょうけど、どういう系統の本なのかが全く分かりません。バッハ、ショスタコーヴィチ、アダム・スミスが通奏低音として伝えるデモクラシーや市場経済の意味というのは何なんでしょう。まぁ知りたければ買って読めということですね、ハイ。