リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

テレマンの作品

2021年12月08日 22時18分50秒 | 音楽系
来週の横浜のコンサートではテレマンの作品を演奏する予定です。テレマンの作品はバッハのBWVと同じようなTWVという作品番号がついていますが、バッハと異なるのはTWVの次に番号、調性、整理番号が付いていることです。

例えばTWV41:G2みたいな風になっているのですが、TWVの次に来る数字はジャンルを表し、41は通奏低音付き1楽器のための作品に付けられた記号です。Gはト長調、G2は2番、つまりTWV41:G2というのはテレマン作品番号の通奏低音付き1楽器の作品の部、ト長調の部の第2番という意味になります。調を表す記号は長調の場合は大文字、短調は小文字です。こういう風にしたのもバッハのBWVで大混乱してしまったからでしょうね。(笑)

このジャンルを表す記号はリュート作品の部もあり、39番になっています。私が知っているのは二重奏2曲ですが、これからもっと出てくるのでしょうか。テレマンとリュートは意外につながりが深く、カンタータの通奏低音にカルケドノ(ガリコン、ガッリコーネ、マンドーラ)というテオルボのように弦の多くないリュート系の楽器が指定されているものが多くあります。ブレシアネッロが沢山いい作品を残していますが、他はあまりないみたいのでテレマンとブレシアネッロのためにカルケドノを作ってもらうというのもねぇ。

2月のバロック音楽の旅14最終回ではテレマンのトリオを2曲演奏する予定です。トリオ作品は42番です。その中のd10(ニ短調)とa5(イ短調)を演奏する予定です。d10は結構知られているようでいろいろな録音がありますが、a5(ポーランド風ソナタという題です)は録音もyoutubeのライブもありませんので世間にはあまり知られていないようです。いい曲なんですけどね。オリジナルスコアはダートマスとベルリンにありますが、ダートマス版を楽譜の誤りを訂正してSibeliusで清書したものを使う予定です。今年のバロック音楽の旅14は前回のオールバッハコンサートを除き、「恵まれない大家」の作品に光をあてるというテーマがありますが、TWV42:a5の場合は、テレマンのこの作品の場合は恵まれている大家による恵まれない作品で、まぁ今回のテーマに半分は合致するかも!?もちろん最終回ではマシッティとかグラウプナーといったホントに「恵まれない大家」の曲も演奏する予定です。