リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

90年代の作品(22)

2021年12月24日 15時51分41秒 | 音楽系
木下順二作「夕鶴」の劇伴音楽からオープニングの音楽「プレリュード(お通のテーマ)」をご紹介します。

録音が89年9月になっていますので、その少し前の制作になります。マスターはカセット版しか残っていませんが、テープの痛みは全くなくきれいに録音が残っていました。24bit, 96kでダビングしノイズ除去処理を施したものをmp3に落としています。

プレリュード(お通のテーマ)

あるとき校長先生が文化祭には全校一丸となって夕鶴の演劇を行おうと提案されて、私は音楽制作を仰せつかりました。ただシンセサイザとコンピュータで作るとお伝えしたので、校長先生はYMOみたいなピコピコの音楽になっていないだろうかと随分心配されていたそうです。というのは後で聞いた話です。

文化祭で上演し、さらに公民館で町の人を集めて2回目の公演を行いました。演劇は多くの人の涙を誘うほどの名演でしたが、陰ながら音楽も支えになったのかなと密かに思っています。

この作品は本当はもう少しいい音というかリアルな音のパーカッションがほしかった所です。Aメロの2回目からは左の方から硬い感じの音のパーカッションが入ってきます。これはお通さんが機を織る音のつもりですが、もちょっとリアルな音といいリバーブがほしかったですね。当時の機材ではこのくらい限界でした。ストリングスはJX10のもので、音色はいいのですが、アタックの細かいコントロールができない(やろうと思えばできましたが)のが残念なところ。あとハープももうちょっとなんとかしたいし、ティンパニなんかも入れたいところです。この曲は今持っている音源を使ってニューテイクを作ってみようかと考えていますが、32年前の機材を使った少しチープ感がある録音もそれなりではあります。