リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

偽装貝

2022年02月04日 20時28分31秒 | 日々のこと
桑名の浜は汽水域が大きく広がっていてかつては蛤、浅蜊、蜆の宝庫でした。でも伊勢湾台風の護岸工事や河口堰建設などの影響もあって漁獲量といいますか貝獲量は激減して今日に至っています。

少しまえ市内の貝の佃煮専門店で地の蜆のしぐれ煮を出していましたがお値段はなんと100gあたり800円を超えていました。普通は4~500円ですが、これらは地のものではなく多分外国からの輸入でしょう。

貝が獲れなくなったことの対策として畜養という方法が取り入れられています。畜養というのは例えば少し若い蛤を桑名の汽水域に投入して育てる方法です。国の基準ではより長く育った地域を産地として表示していいらしいので、桑名で長く育てて桑名産として出しているみたいです。

ホントの地の蛤はあるにはあるみたいですが、入手ルートは限られているようで、漫画美味しんぼに出てきた日の出さんあたりでいただくことができます。ただしお値段はべらぼうに高いです。歌行燈あたりで出てくる桑名の地蛤入りのはまぐりうどん700円というのに入っている蛤は、第二のふるさと桑名の産のものでしょう。ネイティブの蛤を蛤うどんに入れるとすると、その値段では10くらいに切り刻んだ一片の蛤しか入れることが出来ません。

もう60年以上も前ですが、桑名の人は普通に地の蛤を吸い物なんかにして食していました。第二のふるさと蛤は完全地物とは少し種類が違う感じで、実が薄目でフチが大きめです。昔は美味なものを身近に食べていたんですねぇ。

最近浅蜊の偽装が問題になっていますが、テレビの報道で見た感じでは畜養というより浜で1日2日骨休み(貝に骨はありませんが)させた程度で、このあたりが偽装ということになるわけです。でもより長いこと育った場所を産地にできる制度は業者の方を向いた制度であって、その目は消費者には向いていません。問題になった熊本産浅蜊は論外としても、どっかの国で取ってきてそれを桑名に持ってきて育てて「桑名産」とか「地物」というのも消費者を欺いています。やはり「どこそこ国産、桑名畜養」という風に書くべきでしょう。今回の熊本の産地偽装問題もそれだけで終わってしまうのではなく、制度の見直し自体にも目を向けた方がいいのではないでしょうか。