リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュートの保管

2022年02月03日 13時05分25秒 | 音楽系
昨日のニュースでやっていましたが、小田原市の湿度が15%だったとか。今日は大丈夫なんでしょうか。これだけ低いとリュートが危ないです。関東地方の方は気を付けてください。ヨーロッパの保管方法きどりで壁に掛けている方は特に注意です。

リュートの壁掛けはヨーロッパでは結構普通に行われている方法です。ホピーのレッスン室もそうでしたし、今村氏のリュート部屋もそうでした。私はケースに入れて保管していましたが。

ヨーロッパの冬の室内はヒーターによる暖房のため乾燥します。それの対策として熱源の上に水の入った鍋をおいて水蒸気を出すなどのことが行われます。私の下宿でもそうやっていて、水がなくなると白い結晶が残っていたものでした。(バーゼルの水道水は結構濃い硬水です=まずい)

日本は地震が多いので、壁掛け保管法は絶対NGだと思います。大体どの地域でも10年間のスパンで見れば一度くらいは震度4くらいの地震があるのではないでしょうか。そして時には不幸にも大地震に見舞われることも。

では今季のような低湿度や地震対策としてどうしたらいいのか、私は平凡ですけどケースに入れて保管、出来れば部屋は温度、湿度をある程度コントロールする、これが一番現実的でしょう。

よく新聞でギターの保管ケース15万円、完全温度湿度コントロールできます、なんて宣伝広告を目にしますが、そこまでしなくてもいいと思います。それに保管すれば完璧なようですが、実は2つ問題点が考えられます。ひとつはケースの扉にガラス(多分。アクリル板ならいいでしょうけど)が入っていることです。これは地震でケースが倒れたときにガラスが割れる可能性があります。倒れなくても大地震に遭遇すれば、ガラスなら割れるかもしれません。もうひとつは紫外線で表面板が焼けてしまうことです。ギターは塗装が厚いのでそれほどではないでしょうけど、リュートの場合は紫外線で結構表面板は焼けて変色します。製作当初の白肌から、黄色や茶色に変色します。もちろんこれは避けることは不可能ですが、少しでもその変化を遅くする保管方法がベターです。ちなみにホピーも今村氏もリュート部屋は地下室でほとんど窓がない部屋です。

楽器の環境として、お風呂の中に楽器を持ち込むとか、夏の炎天下で車の中に放置する、車で移動中に太陽が直射するような状況は論外ですが、人間が快適だと感じる部屋にケースに入れて保管し、毎日とは言わないにしても週に何度かはケースから楽器を出して弾いてやるというのが日本では一番いい方法でしょう。