リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バッハ作曲 BWV208より第9曲のアリア

2022年02月12日 15時54分59秒 | 音楽系
いわゆる狩りのカンタータの有名なアリアです。この曲はバッハが若い頃(20代)の作品です。

BWV208は宗教(教会)カンタータではなく世俗カンタータ。狩りが好きなザクセン=ヴァイセンフェルス候クリスティアンの誕生日のために作った曲です。。

クリスティアンはザクセン=ヴァイセンフェルス公国の殿様で、ここの教会にいいオルガンがあって、バッハはオルガニストとして就職応募したのですが落とされました。そしてもう一回王様の誕生日用のカンタータ(これがBWV208)を書いたり殿様のところの教会用にオルガン曲を書いて送りました。これはバッハが求職活動のために書いたか、向こうから曲くらいなら書かせてやろうと頼んできたのかはわかりませんが。ちなみに結果的にはここには就職せず(というかできず)、ライプチヒのトマス教会のカントールに就任することになります。

この曲の編曲を頼まれましたので、どうせならリコーダーのオブリカートをリュートで演奏可能にしようということで原曲の変ロ長調から短三度下げてト長調で書いています。この調だと、リュートの音域にすっぱり入りますので、リュートっぽく聞こえます。なんかとてもリュートサウンドに合っていて、こっちの方が実はオリジナルだったという感じすらしてきます。

BWV208 Nr. 9 Aria

音源はシベリウスに付属しているSibelius Soundのみで作りました。シベリウスにはなんとルネサンスリュートをサンプリングした音源がついています。オルガンの通奏低音のリアライザイションとオーボエの装飾は私が行いました。最初はリュートのアルペジオで入れようかとも思いましたが、この曲ではオルガンの方がずっといいですね。ポップスの世界でいういわゆるPADの役割をしています。Organ PADです。あるとないとで大違いです。通奏低音のバスのラインは、リュート、ハープ、チェンバロ(左手)です。