リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1006a(27)

2024年10月14日 21時25分11秒 | 音楽系

少し間があいてしまいましたが、BWV1006aのアレンジの続きです。

今回から Loure です。ヴァイオリン用のBWV1006にはほとんど装飾の記号はついていませんが、BWV1006aには装飾音がいろいろ書かれています。Preludeでは終わりの方にトリルがあるだけでしたが、Loureでは沢山出て来ます。

自筆譜のLoureの冒頭です。ここでは装飾音としては、上からのアポジャトゥーラ、トリル、アポジャトゥーラ付きのトリルが見られます。他にモルデント、下からのアポジャトゥーラが出て来ます。リュートのタブではこれらに完全に対応している装飾記号がありませんので、タブで記述する際はリュート式に )と )を時計回りに90度回転した記号そして(  の3つを使うことにします。この場合自筆譜に書かれているトリルとアポジャトゥーラは区別できませんが、もともと )は多義的な記号なので奏者の判断でいろんな形で自由に装飾した方がいいと思います。ひとつの記号で即興的にいろんな装飾をすることこそ当時のスタイルだと思います。

1-7小節です。

装飾記号の種類が少ないと楽譜がとてもスッキリしますね。