リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

のようなもの

2024年10月19日 23時21分23秒 | 日々のこと

最近荒っぽい強盗事件が頻発しています。店の入り口のガラスをバールのようなもので壊し侵入したらショーケースをバールのようなもので破って中の貴金属を盗んで・・・というようなことをアナウンサーが話しますが、この「バールのようなもの」、って何でしょうか?

バールではないのでしょうか?「のようなもの」と言っているのでバールではないように思われます。では一体何なんでしょうか。

今日のニュースでも某政党本部の建物に火炎瓶のようなものが投げられたと報道していました。これは火炎瓶ではないのけどそれに似ている何かということですが、ではそれは一体何だったのでしょうか?ニュース映像で映っていたものは、昔過激派が投げていた火炎瓶とは違いますが、それは多分火炎瓶でしょう。

「コンサート会場に入るとリュートのようなものを弾いている演奏家がいて、その曲はヴァイスのようなものであった」、というとその演奏家はヴァイスに似ているけどヴァイスではない曲をリュートに似てはいるがリュートではない楽器で演奏していたということになります。

最近ニュースでよくつかわれる「のようなもの」というフレーズにはどうもひっかかりを憶えます。ここはもう少し話者の主観を入れるべきではないでしょうか。「のようなもの」は何か断定はおろか推測からも逃げている感じがしますが、この流れは物事を断定的に言うのを避ける最近の流れと一致しているようです。でもこの場合はもう一歩進んで主観的な推測を交えて「バールと思われるもの」くらいは言ったほうがいいように思います。