院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

キャノンのミラーレス一眼レフ

2012-10-24 03:56:43 | 技術
 キャノン株式会社はご存じのようにカメラ会社である。でも、一時潰れそうになった。

 昭和40年代にキャノンは、ぺリックスというカメラをヒットを狙って売り出した。初めてのミラーレス一眼レフである。

 当時は光をどれだけ多くカメラ内に取り込むかが至上命題だった。そのため、各社が競ってより多く光を取り込む明るいレンズを開発していた。

 フィルム会社も、より少ない光で感光するフィルムの開発にしのぎを削っていた。フジフィルムはいち早く感度400のカラーフィルム(普通は100)を開発して、コダックやサクラに勝って、その勢いは最近まで続いていた。

 だから当時、ミラーレス一眼レフという光を3割も浪費するカメラは常識はずれだった。キャノン・ぺリックスの仕組みは、反射ミラーを半透明の膜にして、3割はファインダーへ7割はフィルムへと光を分配するものだった。半透明の膜は跳ね上げる必要がなく、撮影時の一瞬の闇をなくした。

 だがユーザーは、まだ少しでも多くの光を必要としていた。一瞬の闇より光の方をとったのである。その結果ぺリックスは失敗に終わった。それだけが原因かどうか、業界内のことは知らないけれども、キャノンは傾いた。キャノンを救ったのはコピー機だった。これにより命脈を保ったキャノンは、デジカメ時代に乗り遅れずに現在まで来た。

 そこで売り出されたのが、今回のキャノンのデジタル・ミラーレス一眼レフである。仕組みはどうなっているのか分からないが、もしぺリックスのように光を分配する方式だったら、キャノンは再び同じ誤りを繰り返すことになる。

 ユーザーは一眼レフの一瞬の闇なぞ気にしてはいない。光を犠牲にしてまで、瞬きのないカメラを欲しくはないのである。