(漢方専門・大手町薬局HPより引用。)
社員50名以上の事業所に、(うつ病の原因となる)ストレスを測る検査を義務付ける法案が修正されて、きのう可決された。どこが修正されたかというと、「義務」が「希望者」に変わった。
修正されてもされなくても、この法律には首をかしげざるをえない。というのは、精神科医の私が「うつ病を予知するストレスを測る検査」なるものを知らないからだ。そのような検査があって、本当にうつ病の予知的なスクリーニングができるなら、ぜひとも使いたい。
その際、その検査は何万人もの人で実験されて、5年も10年も追跡調査され、検査結果がうつ病の予知に本当に役立つことが科学的に証明されていなくてはならない。だが、そんな実験が行われたとは聞いたこともない。(うつ病の発生頻度は大きくはないから実験の母集団は十分に大きくなければならない。また、発病まで何年かかるか分からないので調査期間も十分長くなければならない。)
うつ病の原因はストレスとは限らない。ストレスが何もない人がうつ病になることは多い。最近、「うつ病」という疾患単位と「うつ」という正常な感情状態が、めちゃくちゃに混同されていることは前に指摘した(2013-11-03)。
(こういう検査が義務付けられると、検査の考案者は版権によってものすごく儲かるはずだ。)
(このニュースの新聞での扱いはとても小さかったので、みなさんは気づかれなかっただろう。テレビニュースでは取り上げられさえしなかった。でもこれは、むかし結核についてレントゲン撮影が義務付けられたのと同じくらいの大ニュースだと思う。)