院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

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古文書に見る『本当はひどかった昔の日本』

2014-03-20 05:53:13 | 読書
(新潮社刊。)

 上の本は評判がよいらしく、すでに多くの書評が出ているから、私が印象に残ったところだけを述べよう。

 犬公方、徳川綱吉の「生類憐れみの令」は、動物だけではなく赤ん坊や老人、病人も対象だったとは初めて知った。当時は捨て子や病人を捨てるのが日常茶飯事だったようだ。

 捨て子は犬に食われることがあった。少し成長した幼児の捨て子は犬と戦って、翌朝、幼児も犬も死んでいたという凄惨なことがあったらしい。

 江戸時代は儒教の影響が強く、子どもは親の持ち物で、煮て食おうが焼いて食おうが、すべて親の自由だったらしい。だから、親から虐待されたと訴え出ると、逆に罰せられたそうだ。

 実際、わが国ではつい最近まで、親が子どもを殺す罪よりも子どもが親を殺す罪のほうを重くした「尊属殺人」という考え方が残っていた。「尊属殺人」が法の下の平等に反するとして違憲判決が出たのが1973年だった。

 そのとき私は大学生だったが、「尊属殺人」の廃止にいくぶん抵抗感を感じたのを覚えている。