院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

和声法の複雑化(音楽の根本問題・3)

2014-03-23 06:00:44 | 音楽
 中世ヨーロッパでは、和声(心地よいハモり)としては4度と5度(ドファとドソ)しか認められていなかった。3度(ドミ)はまだ不協和音だった。だが、じきにドミソが和声として認められるようになった。(いまやフォークソングは3度のハモりが定番である。)

 ベートーベンなどのロマン派音楽になると、7th が和声として入ってきた。(ドミソシ♭のような和音。これを7th コードという。フォークソングやポップスには普通に使用されるが、演歌にはめったに使われない。)

 ところが、モダンジャズになると9th , 11th , 13th が和声として使用されるようになり、和声の定義が格段に広がった。これらをあえてテンジョンノート(緊張の音)と呼ぶ。テンジョンノートやそれを使用したテンジョンコードはモダンジャズのサウンドをモダンジャズらしくする決定的な発明だった。

 それらとは別に、suspension4 (宙ぶらりんコード、ドファシ♭)というのが出てきた。このコードが和声学的にどう位置付けられているのかは知らない。sus4 はドファラに解決する。むかし「青い三角定規」というフォークグループの「太陽がくれた季節」という歌が大ヒットしたが、その歌の前奏に使われている(前奏の4小節で「sus4→解決」を2回繰り返す)。当時、しゃれているなと思った。

参考:「太陽がくれた季節」Youtube より。

屁理屈としてのシェーベルクの12音音楽(音楽の根本問題・2)

2014-03-23 00:11:52 | 音楽
 無調音楽の台頭に反対するかのように、シェーンベルクは有名な(1オクターブを半音ずつに刻んだ)12音音楽を提唱した。

 12音音楽のルールは、12音はすべて平等であるから、平等に用いなくてはならない。すなわち、12音のうち同じ音は12音すべてを使用してからでないと再び使ってはならないというルールである。無調音楽と同じく調性を無視しているが、そこに一定のルールを持ち込んだ。きわめて人工的なルールだけれども・・・。

 20世紀の初め、12音音楽はある程度受け入れられ、シェーンベルク以外にも作曲を試みる者がけっこういた。

 だが、調性を無視しようが無視しまいが、12音がとびとびの音であることには変わりがない。(とびとびであることにおいて調性音楽を決定的に超えるものではない。)また、1オクターブを12に分けることも恣意的である(半音音階)。全音ずつ6つに分けることも、権利上同じだからである(全音音階)。半音のまた半音まで細かく区切って24音とすることも可能である。
  .
..12音音楽は無調音楽のアンチだったかもしれないが、所詮、屁理屈だったと思う。

参考:アニメ「鉄腕アトムのテーマ」Youtube より。(前奏に入る前の音列が全音音階になっている。)