ブログをご覧の遠方の方から修理の問合せが有った(以下、文面)。
写真も本人撮影のを掲載させてもらいました。
「パトカーです。屋根の赤いボタンを押すと10~20秒間黒い線の上をゆっくり走ります。これはバンダイのボードゲームで遊ぶ為のモノで20年ぐらいは経っています。いつ壊れたかは定かではございませんが5~6年ぐらいは正常に動いていました。今は、電池を入れてもセンサーが光るのみで走りません。
電子工作業界ではトレーサーと呼ばれるものだと思います(ワタシは全く電子工作詳しくありません)
このようなおもちゃですが、修理できますでしょうか?」
原因の診断は可能な様なので引きうけて送ってもらった。
単三電池を2本入れ、底面のスライドスイッチをONにして屋根部パトライト形状のボタンを押すと、ライントレース用のライトが点く。古いおもちゃらしく、今時のLEDでは無く麦球を使用している。
その背後に左右2個のcdsセルが見える。これも今時のフォトダイオードでは無いところが時代の古さを物語っている。
これに白色および黒色の紙をずらしてみるが連絡通りモーターは動作しないので、ボディを取り外して見た。
ライトを当てて見てcdsの抵抗変化を見てみる。変化(抵抗値が下がる)するので、問題無し。
次にモーター(一般の断面が楕円小判形状のマブチモーターでは無く、断面が長方形の小型モーターである)2個(左右のタイヤを個別に駆動)を単独で電源供給してみたが廻らないので、ギアボックス部を分解。モーターを取り出してブラシと整流子を清浄し接点グリスを塗布し仮組みすると、ちゃんと廻る様になった。シャフトとギアにはセラミックグリスを塗布しギアボックスを組み上げる。
cds部分に白い紙を当てるとモーター停止、黒だと回転となる。依頼人に聞くと15mm巾程度の黒色ライン上をトレースして走るらしいので、仮にコースを作り走行テストをしてみる予定である。
ファービー人形も同じ様な形状のモーターを使用していたが、これもやはりブラシの接触不良が原因だった。年代物なので、この様な現象が出るのだろう。
おもちゃ病院をやっていると、必ず「ぬいぐるみ」の修理が有る。裁縫は苦手で、得意なドクターや娘にやってもらったりしていたが、このことを先輩ドクターに話したら、何事も経験が必要と一喝されてしまった。それ以来、自分でやることにしている。
やってみると、下手ながら意外と簡単に誤魔化せるので面白い。
先日のEテレで、丁度この作業の方法が紹介されていた。
「いつまでもきれいに! ぬいぐるみのお手入れ」という番組で、これからテキストを買って勉強してみようと思う。