Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ドーピング

2011年07月05日 | バリ
 現在、調査しているカランガスム県アムラプラで活動するバリ芸能のグループが初めて、バリ芸術祭の舞台に立つことになった。このグループの活動の調査が今回のバリ滞在の目的の一つである。日本にいてもこのグループのリーダーとEメールで連絡をとっていたが、芸術祭の出演は本当に嬉しいらしい。かなりマイナーな芸能であることもあり、公的な舞台に登場することはかなりの喜びなのであろう。こちらとしては平日の朝11時の舞台に観客が来るかどうかが心配である。
 前日に、朝7時過ぎにアートセンターに到着するから手伝いに来いと連絡を受ける。いったい何時に起きて、カランガスムを出ているのだろう。私が8時頃にアートセンターに到着するとちょうど朝食時間で、しっかりアムラプラからナシ・ブンクス(弁当)を買って持ってきている。私もそのお相伴にあずかった。
 とにかくテンションが高くなっている。まだ8時過ぎだというのに、すでにドーピングが始まっている。演奏の中心的おっさんが、嬉しそうにリュックから500ccのアクア(水)のペットボトルを二本取り出す。ニコニコわらって「水(アクア)、水」という。絶対に違う。これは蒸留酒(アラック)である。演奏者は楽しそうに、自称「アクア」を回し飲み。もちろん私も飲まなくてならない雰囲気である。
 このグループは練習の時も本番の時も、常にドーピングをしなくてはいい演奏ができないらしい。ドーピングを「潤滑油」なんてうまい表現でかわす「おっさん達」であるが、要するにこのグループは酒好きの集まりなのである。練習も本番も「飲み会」みたいなものなんだろう。もちろんドーピングのおじさん達の演奏は、最高にイケていたのはいうまでもない。多少、目がうつろだったのが気になったけれど。