Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

好みの問題ですが……

2012年03月08日 | バリ
 せっかく美しく彫刻をしたにもかかわらず、それに赤のペンキを塗ったあと、さらに金色の塗料を凹凸の出た部分に塗る作業の途中の風景。赤と金に塗られた枠のバリの楽器は多いし、それを演奏することにも抵抗はありません。でもね、この作業を見てしまうと、「どうしてここまでして派手にするのかな」と思ってしまうのです。
 もちろん所有者の「好み」の問題ですし、インドネシア芸術大学の楽器の大半は赤金に彩られています。それにアートフェスティバルで演奏される楽器は、100パーセントといっていいほどこの色が使われています。ですからきわめてノーマルなのです。
 1980年代、私が留学していた頃のバリの楽器の多くは、木の雰囲気を残した茶色でした。私にはそれが自然でした。王宮が保有するような楽器だけは例外的に彫刻も深く、細かく、赤金で彩られていましたか、金は塗料などではなく金箔でしたし、赤も科学的染料ではなくて、自然のものから作られた伝統的な赤でした。王家が他とは異なる楽器を持つことは理解できるのです。
 バリにおいて舞台で演奏する場合、楽器が派手であることが今や、(きっと)必須条件です。徐々にそれまで茶色だった楽器の上には、赤いペンキが塗られて、金の塗料というアクセサリーを体中にブル下げてしまうようになりました。
 何度も書きますが、あくまでも好みの問題なのです。でも百年近く茶色のまま用いられていた楽器を赤の塗料で覆いかぶせる行為は、ぼくには血塗られた行為のように思えてならないのです。派手なのは演奏だけでいいじゃないですか?大事なのは、その楽器から奏でられる音なんですから。

AISHITERU

2012年03月08日 | 
 ソロ滞在中、朝、ぶらっと散歩に出かけた時に見つけたお店「AISHITERU」。鉄板焼きのお店のようだが、朝なので当然、店は閉まっている。
 私がこの店に目を止めたのは、タイトルが「AISHITERU」だったからだけでなく、この店のシャッターを含めた色彩である。不思議と全体が橙色と赤でまとめられ、この建物そのものが暖色でやわらかな香りを漂わせていたからである。私は店名とその雰囲気に不思議と引き込まれたのだった。
 私は知らないのだが、数年前、インドネシアでは「AISHITERU」というタイトルの歌が流行したらしい。たぶんその意味はわかって使っているのだろうが、この店主はそんな意味とこの建物のつくりや色全体をコーディネートしたのだろうか?
 ちなみに、夕方、開店していたこの店の前を車で通ったのだが、店の中央には、卓球台のような鉄板が置かれているだけで、救いようもなく殺風景なものだった。なんだかちょっぴりがっかりした。この店が閉店をしたまま印象的な黄色のシャッターを閉め続けていさえしてくれるのなら、私はきっとこの店を愛することができるのにと、思ったりしたのだった。