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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

音工場HANEDAの「ハンス」を思う

2007年05月30日 | 東京
 沖縄に移住する少し前のこと、音工場HANEDAのガムラン講座に連れてきていた当時1歳の息子が、スタジオの奥やゴングが置かれている位置ばかりを気にしていた。「何かいる」というのである。そんなことが続いているうち、わが子以外は誰一人としてその存在を確認していなかったにもかかわらず、「超自然的存在」が潜んでいるのだという結論に達してしまった。確かにガムラン楽器のゴングには魂が宿っていると考えられているために、あながちジョークではなく真実味を帯びたのである。そしていつの間にか、その「超自然的存在」は、「ハンス」と名づけられた。しかし、いったいなぜ「ハンス」になったのだろう?ハンスといえば、まず思い出すのがヘッセ『車輪の下』の主人公である。あとは音楽関係で、ハンス・アイスラー、ハンス・フォン・ビューローぐらいか?どちらにしてみんなドイツ系である。
 ほぼ9年の月日がたって、「ハンス」の存在を記憶しているのは、たぶん私を含めて数人だけである。だいたい私の息子も「ハンス」を憶えていないのだから。ところが、先日の音工場の発表会でぼんやりゴングを眺めているうちに突然、「ハンス」のことが脳裏をよぎったのだ!天気もいいし、気持ちよくガムランも響いているし、きっと「ハンス」は大喜びだろうな。そんなことを考えているうちになぜかとても幸せな気分になった。
 10歳になった息子には、まだ「ハンス」は見えるのだろうか?それとも年を重ねていくうちに見えなっていくのかな。「ハンス」どころか、今の私には身の回りに存在するはずの多くのものがぼんやりと形を失って見えるのだ。進行の速度は、きっと心が曇る速度と同じなのだろう・・・。 

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