Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

うるさい車内アナウンス

2011年03月27日 | ヨーロッパ

ov-chipkaartなるオランダ版suicaが、ほぼオランダ全土で用いられるようになったらしい。しかし、これまでオランダでは切符は買うが、その切符を鉄道会社やバス、トラムの会社が回収するということがなかった。ようするに切符を買えば、それで終わりなのである。だいたい改札口がないので、電車やトラムの中で、検札に会わなければ「ただ乗り」だってできてしまった(もちろん今も同様に切符を購入して乗ることもできるが、その場合、チェックアウトはない)。
 ようするにオランダ人は日本人と違い、チェックアウトという習慣がなかったである。そのため、ov-chipkaartでチェックインしても、当初、多くのオランダ人が下りる時にチェックアウトを忘れてしまったらしい。この場合は、トラムやバスだと4ユーロ、電車だと20ユーロがひかれてしまう。ようするに、大損するわけだ。
 チュックアウトを忘れないようにと、トラムでは駅ごとに「降りるときはチェックを忘れないでください」とオランダ語でアナウンスがある(トラムによっては英語でもアナウンスされる)。しかし、トラムは一駅間が、せいぜい長くて1分なので、ほとんど、「チェックアウトを忘れないでください」と鳴り続けているようなものである。正直、お経のように聞こえるのだ。オランダ人がチェックアウトの習慣がついたとき、このアナウンスも消えるのだろうか?(写真はトラムの中にあるチェックイン、チェックアウトの機械)

 


ヌサンタラ博物館

2011年03月27日 | ヨーロッパ

 長きにわたり改修を行っていたデルフトにあるヌサンタラ博物館がつい3月11日にオープンした。デルフトといえば、フェルメールとデルフト焼で有名な場所。アムステルダムから1時間くらいかかるのであるが、小さな町にもかかわらず観光客も多い。しかしそのデルフトにヌサンタラ博物館を目的に訪れる観光客はたぶん私一人かもしれない。
 この博物館、実はできてから100年経っている。先日、ブログに書いた熱帯研究所(以前は植民地研究所という名前だった)は王立の公的な研究機関として歴史が長いが、デルフトにもインドネシア文化研究の研究機関があったらしい。詳しいことは忘れてしまった。
 この博物館の展示品は少ないのだが、インドネシア各地のワヤンを多く所蔵している。また、オランダ人の研究者が関わり新しいワヤンの制作をジョクジャカルタの人形製作師に依頼して所蔵を増やしている。私は数年前、バリでこのプロジェクトのことを聞いたのだが、現在、このプロジェクトの様子は5分程度の映像になって博物館で見ることができる。これまでこの博物館は、コレクションをただ展示していた感があったのだが、熱帯博物館が「今」を表現しようと試みているように、リニューアルした結果、ヌサンタラ博物館も少しずつ変わりつつあるのかもしれない。


デン・ハーグ今昔

2011年03月27日 | ヨーロッパ

 オランダはその建築のデザインがユニークであることで知られる。私にはよくわからないが、デン・ハーグの私立図書館やビルなどは有名な建築デザイナーが設計したらしい(私の建築に関する知識はこの程度)。
 一方で、ヨーロッパ人らしく古い建物外形を残す一方で、内装をリノベーションしながら、使い続けている。この光景を見たときにデン・ハーグの今と昔がよく見える。手前の建物は古い建物が多い観光客が訪れる場所で、その後方のデン・ハーグ中央駅周辺は高い建築物が次々に建てられている。
 これほどまでに今と昔に年代的な距離があると、微笑ましい。日本も同じだが、京都のような古都にデザイナーが設計したモダンな高層ビルは建てないだろう。たぶん、日本人は「そんなことありえない」と考える。しかしオランダ人は違うようである。


デン・ハーグのパサージュ

2011年03月27日 | ヨーロッパ

 デン・ハーグで好きな場所は、100メートル足らずのショッピングアーケード「パサージュ」である。歴史的にかなり古いらしい。この手のショッピングアーケードはブリュッセルのギャレリー・サン・チュベールが有名だが、雰囲気はデン・ハーグも負けていない。残念ながら観光ガイドには書かれていないのではないだろうか? 

 時間がないのですたすた歩いていると、キッチン関係の品物を扱っている店を発見。何気なく入ってみると…「ありました!エッグスタンド」。それが、これまでみたことのないお洒落な形なのだ。オランダのデザイナーブランドだろうか。しかし値段も一つ17ユーロとお高めである(1ユーロを118円で両替していますので、掛け算してください)。
 さらに、ポーランドの陶器(これはどうもポーランドの会社がオランダで作っているらしい。)のエッグスタンドが数種類。「どうしよう、お金持ってないし」と、まずクレジットカードが使えるかどうか確認。どうもチップが入っていないカードは使えないらしいが、私のカードは大丈夫。それを聞いて、ここで一気に40ユーロ近く買い物をしてしまったのだった。デン・ハーグのパサージュ万歳!


真珠の耳飾りの少女が!

2011年03月27日 | ヨーロッパ

 デン・ハーグに行ったついでにマウリッツハイス美術館に入った。特に美術に造詣が深いわけではないが、とりあえずここにフェルメールの有名な作品が二枚、それにレンブラントをはじめオランダの有名な画家の作品が集まっているのは知っている。これまでに行った回数は10回以上だと思う。
 なんといっても、かつては1年有効のミュージアムカードを作ると、ほとんどの博物館や美術館が無料だったのである。もちろん今でもそれに近いのだが、正確に言うと、マウリッツハイス美術館は1.5ユーロとられた。最近は値段が高い博物館は少し払うようになったのかもしれない。
 時間もなかったので駆け足で眺めのだが、有名なフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」の前でぼんやり絵を眺めていて気が付いたのだが、この絵の右、正面、左と左右に動いても、この少女に見つめられ続けているのだ。それに気付いて、絵からかなり左右に離れてみたが、やはり少女は「私」を見つめている。「えっ、ぼくに興味があるわけ?」と思わず口走りたくなってしまうほどなのだ。
 この絵のすぐそばに、別の作家の女性の肖像があった。この絵の前を左右に動いてみたのだが、少しずれると、もう女性は私を見ていないだ。このとき、背筋に寒気が走った。「真珠の耳飾りの少女」の描き方の何かが、他の絵と違うのである。こういうことは「芸術学」なる分野が得意とするところだろうが、研究の領域は別として、そういうことに今、気がついたことにちょっと満足した。やはり、絵というのは何回目かに(僕の場合は10数回)発見があるものだ。音楽もこれと同じ。


古いバリの観光ガイド

2011年03月27日 | ヨーロッパ

 小さな市に古書店があって、ふと見たら古書の入っている箱の一番上に、古いバリの観光ガイドが置かれていた。『神々の島バリ』というタイトル。実はこの本、かつて日本語にも訳されて売られている。
 「オランダに来てまでバリに目が行っちゃうんですか?」と言われそうだが、だいたい毎日、バリの研究の資料などを探しているわけで、結局、純粋にヨーロッパ文化の中に浸れていないのである。
 今日はデン・ハーグで友人たちに会うのだが、ちなみにバリ人のコックが作る美味しいインドネシア料理だそうだ。「12月末にバリに行ったんですけど」なんて言えないし。


時差ぼけの近況

2011年03月26日 | ヨーロッパ

 毎晩10時過ぎには猛烈な睡魔に襲われ、眠るのですが、毎日、日本時間の午前10時過ぎから午後12時(こちらの夜2時から4時)に目が覚めてしまい、しばらくはどうにも眠れなくなります。しかたがないので、資料をまとめたり、出納簿をつけたり、ブログを数本書いたりします。ちなみに、現在の時刻は、こちらの4時17分です。
 結局、1時間くらい起きていて、再び眠ります。再度、目覚めるのはこちらの時間で朝7時。だんだん時差ぼけが解消してきたんでしょうね。最初にヨーロッパにきたときもこうでした。
 昼の間、しっかり歩くとか、少し体力を使わないといけません。なるべくトラムに乗らないで少し歩いて目的地に行こうと思います。


平日の18時

2011年03月26日 | ヨーロッパ

 オランダの平日(といっても木曜日は除く)は、18時で街が大きく変わる。2003年に来た時、この時間に驚いたものである。というのは、ほとんどのお店はこの時間に閉まるのだ。日本だったら、ショッピングセンターの18時は、仕事帰りの人たちや学生客で稼ぎ時だと思うのだが、こちらでは次々とシャッターが閉まる。駅ビルですらテナントとして入っているスーパーマーケット以外が全部しまるのだから、驚きである。ローカル話だが、吉祥寺の駅ビルに入る店がすべて18時に閉まることを想像してみよう。
 しかし、この時間から賑わうのが、カフェや飲み屋である。ビールをちょびちょび飲む人たちでいっぱいになる。この写真はちょうど18時頃のユトレヒトの駅近くの様子。きっと、これから運河沿いのお店も繁盛するのだろう。ちなみにユトレヒトの運河は、地上よりかなり低いところを流れている。
 この近くの本屋に行こうと思ったのだが、残念ながらタイムアウト。本屋も18時に閉店だった。「本屋だからもう少し遅くまでやっているかも」なんて期待したのだが。


自動楽器博物館

2011年03月26日 | ヨーロッパ

 3時過ぎに熱帯研究所を出て、急ぎトラムでアムステルダム中央駅に向かった。ユトレヒトの博物館に4時までに到着したかったからである。とにかく日程が限られているので、のんびりしている時間がない。
 自動演奏楽器の博物館は、いわゆるオルゴールから、自動演奏ピアノ、ダンスホールにおかれていた巨大な自動演奏楽器まで多種多様である。以前、この博物館にいったとき、手押しできる大きなオルゴールに書かれていた絵に興味をもった。しかし、記憶はあるものの記録がなかった。、もう一度、それを確認したかったのである。事前に電話をして、この楽器が展示室にあることは確認しておいた。
 私がかつて興味をひいたのは、この写真のオルゴールに描かれたオリエンタリズム的な絵である。左には武器をもったアラブの男性、右側にはタンバリンをもった女性。また中央下には、アラビア、アラブと文字が書かれている。
 なんでオルゴールにオリエントが描かれたのだろう?やはり、こうした絵が注目された20世紀初頭の自動演奏楽器だからなのか?実際にこの楽器を鳴らしてくれたのだが、西洋の明るい作品と、この絵が実にミスマッチで実にユニークである。


熱帯博物館 Tropenmuseum

2011年03月26日 | ヨーロッパ

  熱帯研究所に併設して、熱帯博物館があります。この博物館は2003年、私がオランダに住んでいたとき、隣の研究所に行くたびに通ったお気に入りの博物館です。正直、私は誰もが行くゴッホ・ミュージアムよりずっと刺激を受けた場所です。今回も、研究所の帰りに寄りました。
 この博物館も日本の国立民族学博物館も同じですが、文化の動態を上手に展示していることです。博物館を時間の止まった空間に限定せずに、各民族が変化していくその様子が展示物や映像から読み取れます。
 今回の企画展は「ROOD」。オランダ語ですが、英悟のREDです。つまり「赤」をテーマにしています。関心したのは「赤」の取り上げ方です。たとえば、人の人生、祖先、力強さとしての赤、攻撃と防御、アイデンティティ、愛とエロス、幸運、神と悪魔、エネルギーなどの項目に分かれ、赤を基調にした展示品が陳列されています。もちろん、民族的に基調な資料から、毛沢東賛美のポスターまでさまざまです。ちなみに、この展示品すべての説明と赤に関するカテゴライズを説明した100頁近いEXHIBITION TEXTはオランダ語版と英語版がありどちらも無料です。王立の博物館ということもあり、太っ腹ですね。
 私も数年以内に、大学で「バリ」を描いた展示をしたいと考えています。しかし、楽器や仮面を並べただけでは面白くありませんし、今と昔のバリをどのように描こうかと、いろいろと思案している最中でした。さまざまなヒントを得ることのできた展示でした。