いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

靖国・事情。 yasu-kuni affairs

2010-08-16 19:39:44 | 日記
 (1)日本の古代歴史をたどれば、天照大神から様々な神々(神話も含めて)が現れて、各地の
神社に祀(まつ)られてきた。神社は、神社本庁を起点とした(包括)宗教法人だが、一時期、天
皇崇拝の右翼思想の拠点として象徴化されて、数千年を超える歴史の重みが民族の精神的支
柱として利用されてきたこともある。

 今でも、年末年始には宗教的意味合いを超えて多くの国民が参拝に訪れる。東京の靖国神社
には、戦後、連合国側戦争裁判でのいわゆるA級戦犯が「合祀(ごうし)」されている。
 文献によると靖国神社というのは、幕末、明治維新の志士、その後の国事に殉じた日本の「軍人
軍属等」を主な祭神とする、神社本庁に属さない単立の神社。

 かっては、政府の内務省(当時)が人事権を掌握していたこともあり、現在は政教分離の原則か
ら東京都知事の認証の宗教法人となっている。

 (2)そういう経緯があって、終戦の日の8月15日になるとかっては首相、閣僚関係者が靖国神社
を参拝して、これが日本の植民地支配の責任、終戦処理を巡っての中国、韓国政府の反発を招い
てきた。近年でも、首相の靖国神社参拝で、在任期間中、中国との政治的対立(実質的断絶)の
続く時代があった。

 政治家が8月15日に靖国神社を参拝するのには、メディア露出による関係する支持者、団体へ
のアピールが本意と見ていいだろう。あまり靖国神社本来のもつ性質、思想的なスタンスにこだわ
るものとは考えないほうがいい。思想的スタンスに基づけば、8月15日にあえてこだわる必要もな
く、8月15日がメディア、社会の露出、注目が集まる日だから、だ。
 かって、首相の靖国神社参拝を批判した現自民党総裁が8月15日に靖国神社を参拝したことで
わかる。

 (3)靖国問題の国際的緊張の緩和として、A級戦犯の「分祀」問題がある。宗教法人としての靖国
神社の性質、思想的スタンスからすれば、連合国側戦争裁判でのA級戦犯といえども国事に殉じた
軍人の祭神として祀ることに「違和感」はないと考えられるはずだ。
 分祀問題は、「政治的」配慮となれば政教分離の原則から当然受け入れられない。国、政府には、
戦争遂行によって多大な損害を国民に与えたかっての戦争責任はあり、国として、軍人が祭神の靖
国、宗教的意味合いを離れての戦没者慰霊施設の建設が道だ。

 その時、一宗教法人の靖国神社は、祀る「軍人」という「特殊性(distinctiveness)」から、戦没者
慰霊としての広い意義を失うだろう。「靖国」がいつの時代も、いつまでも「政治的思惑(political
intention)」で動かされてはならない。

 (4)今年、民主党政権は首相他全閣僚の靖国神社参拝を見送った。記録の残る30年間ではじめて
のことだ。(報道) かって、首相の靖国神社参拝を批判した現自民党総裁が8月15日に靖国神社
を参拝し、かって政権を投げ出した自民党議員は民主党政権の閣僚全員の靖国参拝見送りを信教の
自由に抵触すると発言した。(報道)

 自民党の時代錯誤が際立って、歴史的認識(靖国は軍人が祭神、比較しようもない程の一般国民
が戦争で犠牲になった)が不足して、「靖国」は政治的思惑(political intention)で動かされてはなら
ない。

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