いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

重い言葉と大学。 considerate diction and Univ.

2010-08-06 20:00:36 | 日記
 (1)国連を代表してはじめて、唯一の被爆国日本の平和記念式典に出席しようという国連
事務総長だから、意気込み心構えが違う。広島の式典出席後の講演で、広島、長崎が主張す
る「2020年までに、核のない世界(nuclear-free world)の実現」を具体的に訴えた。
 このため、国連の安保理で首脳級会議を定例として開催するよう提案もした。

 現事務総長は、米、ロ、中の大国主義の中に埋没して随分と発言力、発信力の低い国連ト
ップだ。今回の平和記念式典に合わせた日本訪問も、米、英、仏がはじめて代表を参列させ
ることに乗じた、他力本願の姿勢が映る。広島、長崎でも「来るのが遅かった。」という厳しい
言葉が浴びせられた。

 しかし、今回の冒頭の発言は、評価していい。国連トップとしては、「重い」言葉(considerate
diction , message)だ。そもそも、韓国出身の国連事務総長としては、隣国日本への核兵器投
下には「特別」な想いも強いはずだ。今日の「重い」言葉を実現に向けて、これからの国連リー
ダーシップに発揮してもらいたい。

 (2)一方、日本の首相はどうだ。米国大統領の「核のない世界」宣言で核兵器廃絶のグランド
・デザインを描いた中で、沖縄の「核の抑止力の必要性」を強調してみせた。
 唯一の被爆国として、せめて国連事務総長レベルに核のない世界の実現に向けて、沖縄、
日本の駐留米軍基地の有り様、展開について負担軽減の理念を語るべきであったろう。

 絶好の機会、機運を迎えていたのだ。もっと世界情勢の時流に乗るべきだった。この首相、
先の臨時国会での焦点不明の漠然とした論戦、答弁の凡戦を見ていると、唐突な消費税増税
論議のように「考えている」ことが国民には、わからない。

 (3)今春、大学を卒業した者の就職率は61%と前年度比較7.6%減少と、予想通り調査開
始以来、最大の下げ幅となった。不況時代を受けて、企業の半数近くが新規採用を控えていた
からだ。大学院に残る者(13.4%)もいるとはいえ、8万7千人が卒業しても進路未定のまま
だ。

 近年は、企業、行政の側にも問題があるが、大学の就職活動開始時期が年々早まってきて
いる。極端に言えば、入学して早々に就職活動開始という現状だ。
 大学も迎合するばかりで、効果的な打つ手を持たない。企業も行政も社会も、もちろん大学
もここで考えを洗い直してみよう。

 (4)社会は、「安定不況」、「環境適応型」の未来社会の時代。かってのようバブル(bubble)
経済成長は願うまでもなく、また当然のように抑制効果が働く社会だ。
 学生(若者)は、そこにある社会や企業に頼るだけの迎合スタンスではなく、自己人生を
ひとつの連続線のスパン(span)で捉えて、時々の流れの中で「考え」、「理念」で行動する
思考人間であるべきだ。

 説明のつかない社会現象には、思考しない停止(moratorium)が働いている。学生は、所
定年数とにかくフルに、多様に勉学、研究の毎日であってほしい。大学も社会もその環境整
備をすべきだ。
 規模とか近代化を離れても、大学はただ人的資質の教育、研究のステージであるべきだ。
それが自ら「社会の価値観」を変えていくことになる。

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