いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

失業美談。 inspiring story of unemployment

2010-08-19 20:06:37 | 日記
 失業率(unemployment rate)が2桁の米国社会。好調な中国経済に元切り上げ、輸入
拡大の圧力をかけているが、景気回復も思うにまかせずオバマ大統領の再選(2012年)
も不確実性が高いところだ。
 その米国で、美談といえるのかどうか、女性会社員がニューヨークのレストランで食事後、
男性ホームレスに小銭をせがまれて、あいにく持ち合わせがないらしく「信じていいのか」
と同ホームレスにプレミアムカードを渡したニュース。

 同ホームレスは、生活必需品25ドル(2150円)相当を使って15分後に女性の元に戻り
「信じてくれてありがとう」とカードを返したという米国美談(inspiring story)。
 ニューヨークポストは「寛容と信頼、誠実さに輝く行為」と当事者2人を美辞麗句で称賛して
いる。同ホームレスには、寄付金の申し出や就職の話もきているという。

 真夏の夜の夢か、雪の舞うX’マスの夜のラブロマンスコメディの映画のシーンを見るかの
ような、出来た話だ。いかにも米国社会の好きなシナリオだ。
 米国の大富豪に資産の2分の1を社会事業に寄付する呼びかけが報道されて、米国社会
は慈善事業に対する投資が盛んな、ありふれた普通の国柄だから、この程度の話でメディア
が美辞麗句を並べて盛り上がるのも、やはり米国経済の冷え込みも相当のところまできてい
るのだろう。

 そこで、米国の日常生活の相互扶助の価値観を肌で感じ取ることができないことを承知で
言うなら、高い失業率の中で生活困窮者に対してプライベートな一時金で、カードで対応を済
ます行為は人間関係を深く配慮したものではなく、米国社会に根強く息づく慈善事業への紹
介、参加、就職チャンスを助言(suggestion)する行為こそが良心的で、その場と米国社会に
はふさわしかった。

 高い失業率と経済不況とテロ戦況がいっこうに改善しない米国社会を、ドラスティック(drastic)
に善良にシネマ化して見せたシーンに映るのは、シナリオが出来すぎだからなのか。
 米国映画産業は、3Dシステムの時代に入って不況の中、アクター、アクトレスに話題は欠か
ないし、アミューズメントとして社会の支持も大きい。

 非現実的な夢物語(でも現実)で世相を元気づけるのも、米国社会のエネルギーだ。経済も、
メディアも、だから政治もけっこう懐(ふところ)が深いのが、アメリカンドリーム米国のあり様だ。
 

 

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