いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

議会制と直接民主主義。 parliamentary , direct democracy

2010-08-26 20:03:23 | 日記
 (1)日本は制度上、議会制民主主義(parliamentary democracy)の国だから、国民、市民
から選ばれた議員が立法府の議会(diet)で法案を審議して、国民、市民のために行政府の
政府、自治体が政策を実行する。
 立法府と行政府がそれぞれ独立の機関として、相互に干渉されることなく国民、市民のた
めに責務を果たす。

 名古屋市では、市民税10%恒久減税を打ち出して昨年51万人の圧倒的支持を受けて当
選した市長が、一旦はその公約が議会で承認されながら、その後財源問題にすりかえられて
議会により修正されて、1年限りの期間限定の市民税10%減税となった。

 市長の公約実現にかける強い思いが、議会とのあつれきを生み精度の高い政策論争抜きの
感情論対立が続いている。
 この間、高い市民支持を背景にした市長の強引な政治戦略、手法に、当初は市民の意思を
考慮していた議会側も、次第に市長のおおざっぱな政策立案の足元を見て、反転に転じた結果、
抜き差しならない市長と議会の対立となった。議会制民主主義が硬直化した。

 そこで、市長には議会の解散権(dissolution right)はないので、この市長、議会解散請求の
リコール運動を宣言して、今月27日から開始する。議会解散には、市民有権者の20%に当る
36万人強の署名を1か月で集める必要がある。

 (2)そこでは、どうするのか。市長は、自ら立ち上げた地域政党から多数の議員を立候補して、
さらに市長も辞職して再立候補による同時選挙で、昨年の市民による市長支持への高い支持
率を背景にして議会を自らの勢力で固めて、「数」で公約実現をはかろうというものだ。

 随分と、議会制民主主義とは異質の乱暴な政治理論の直接民主主義(direct democracy)
的独断の地方自治政治を目指す。市民税10%減税は、画期的な市民活力の政策ではあるが、
適用にあたっては収入間格差、それによるモスト・ビハインドの政策の見通しなど精度の高い
客観的な判断も必要で、直接民主主義的な独断の手法にはなじまない。

 地域委員会による地域自治、議員の定数、報酬削減など市長が目指す政策上の理念には、
そもそも直接民主主義的志向のものも多いが地方政治の活性化にもつながり、その政治理念
のやみくもな追求ばかりでない、議会対策も含めた政治手法の見直しを求めたい。
 議会も一度は市長の公約を承認した経緯もあり、議会制民主主義の協議の原則に立ち返っ
て、精度の高い政治学の実践が望まれる。

 (3)一方、こっちはこっちでどうなのか。急激な円高に対応策もない民主党政権は、9月の代
表選を前に、前幹事長が立候補を表明して首相との一騎打ちとなりそうだ。
 前幹事長には、影響力を行使しないと言っていた前首相が立党時の経緯から支持にまわり、
民主党の中のかっての自民党「出身」派対「脱」前幹事長派の争いの様相だ。

 前幹事長は、政治とカネの問題が検察審査会の判断待ちで、国民の80%が復帰を望んで
いない。(世論調査) 首相と言えば、その内閣の国民支持率が30%前半をいったりきたりで、
政策にも計画性、一貫性がなくて場当たりで、参院選もその発言もあり敗北した。

 こちらは議会制民主主義を「盾」に取って、国民の意思を無視した国会の中だけの独断の
政治劇(political drama)だ。
 どちらもどちらの9月の代表選を経て、民主党政権は立ち直れるのか。社会は、デフレ経済、
円高、消費低迷の三重苦の中、「世論(public opinion)」の意思と「国民(nation)(選挙)」の
意思が、その責任が以前にもまして重要になってきた。

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