いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

削除されたグアム移転予算。 eliminated the estimates

2011-12-14 19:36:09 | 日記
 (1)かねてから予想されていたことだが、米国議会が12会計年度予算から日米合意に基づく沖縄軽減策の沖縄米軍海兵隊のグアム移転予算を全額削除(eliminated the estimates)する決定を下した。
 日米合意に基づく普天間基地の辺野古沖移設計画がまるで進展しない現状に、セットとなっていたグアム移転計画の当面の凍結を決めたものだ。米国議会筋からは、県内移設への沖縄の強硬反対から嘉手納基地への統合案ほか、辺野古沖移設見直しの意見も出ていた矢先のグアム移転予算の全額削除だ。

 「目に見える進展」が同予算復活の条件だが、今のところは前沖縄防衛局長の不適切発言による解任に防衛相の問責決議可決で、沖縄問題の政官責任者がともに「不適任」と政府、国会自らに判断されて、無責任に翻弄され続けられた沖縄の怒りは収まりそうにもなく、話し合いの糸口もない現在だ。

 (2)国会(参院)から問責決議を突き付けられた防衛相から辺野古沖環境影響評価書(assessment)を提出されても沖縄には受け取る「理由」もないだろうから、今年中の進展も望みようもなく、来年6月までには辺野古沖滑走路建設開始の実現を求めている米国政府の思惑にもまったくの打開策も見出せない実情だ。

 沖縄県知事が「日比谷公園に基地があるようなもの」と比喩する普天間基地の危険性の存続がひたすら継続されることになる、日本にとっては最悪のシナリオだ。

 (3)政府は一括交付金(自治体が費目に拘束されずに自由に使える補助金)による沖縄財政支援に活路を見出そうとしているが、一方では「沖縄外し」の日米政府主導(合意)の沖縄米軍基地偏向(過重負担)継続策の二律背反構造の中では、沖縄の話し合い意欲を政府自ら否定する自己矛盾に陥っていてとても説得など出来そうもない県民感情だ。

 米国政府、米軍にとっては、米国議会のグアム移転予算の全額削除は普天間基地の恒常化を容認するだけのことであり、米国の軍事戦略の見直しはあっても大きな変革を求められるものではない。

 (4)中国が台頭するアジア戦略に対して、米国が同盟関係にある日本の「立場」(国内問題)をどう分析し、考えているのかの問題だ。ハードとしての施設(基地)の利用には問題はなくても、ソフトとしての日本の政治的安定、沖縄県民感情考察にどう対応するのか、重要な政治課題でもある。

 日本をただ追いつめて、日本の「立場」を混乱させることが米国の国際関係、アジア戦略に利益にならないことは容易に理解できるし、どうするかだ。

 (5)強行突破しての辺野古沖移設も、このまま普天間基地恒常化にしても、どちらも日本政府、政治の混乱、弱体化は避けられない。
 勝手に期待の米国議会が、両政府を取り持つ気の利いた方針を出してくれる可能性はなく、グアム移転予算削除による環境変化を機会に日米合意にかかわらず両政府がスタートから協議することだ。その時こそは、沖縄の意思も十分配慮すべきだ。

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