iPS細胞研究のダイナミズム。 dynamism of iPS cell investgation

　(1)０６年にiPS細胞を山中伸弥教授研究チームがマウスで世界で初めて作製して、０７年にヒトiPS細胞の作製にも成功して実用化（utilization）が待たれている。
　この研究業績評価で１２年に山中伸弥さんが異例の早さでノーベル医学生理学賞を授賞した。

　山中伸弥さんの思いは、iPS細胞研究の実用化により難病の人の治療、病気回復に寄与する（本人談）ことだ。１２日に世界で初めてiPS細胞を使った目の難病患者の移植手術（臨床研究）が理研と共同研究の先端的医療センター病院で行われ無事終了したとのニュースがあった。

　ヒトiPS細胞作製からわずか７年の早さで臨床研究実験とはいえ、実際に患者の移植手術にiPS細胞が使用されたことは画期的な医学進化（dynamism of iPS cell investgation）といえる。iPS細胞実用化に向けて大きな希望とスタートとなるものだ。

　(2)iPS細胞には「ガン化」克服が最大課題といわれて、最近の山中伸弥教授研究チームの研究からiPS細胞の「がん化」を克服する研究成果も伝えられて、まずは臨床研究実験にこぎつけたものだ。

　これからはiPS細胞の移植手術を受けた患者のデータ分析、解析から「安全性」について検証作業が行われて、実用化へのステップを踏むことになる。今回の移植手術を推進した理研の高橋政代プロジェクトリーダーは「実用化には１０年以上かかるのではないか」（報道）と見通しを示した。

　(3)コンタクトレンズも現在は広く普及しているが異物を目の上に装着することの「安全性」は完全には保障されているものでもなく、様々な事例研究のもとに検証、改善、試行錯誤が進められているものだ。安全性確認、保障には時間を要する。

　リスクと効果の安全比例対効果の問題だ。山中伸弥さんも「安全性について長期にわたって経緯を見届ける必要がある」（報道）と述べている。まだまだ課題克服はこれからだ。

　(4)仮にiPS細胞を使った目の難病治療の実用化が１０年単位で語られるなら、それはまた画期的な医学進歩ということになる。
　山中伸弥さんの研究チーム（京大iPS細胞研究所）ではiPS細胞ストック（備蓄）事業も立ち上げてiPS細胞の事前作製、保存、大量培養も可能（報道）となっており、患者自身の細胞から作製するiPS細胞の高額治療（現在３千万円～５千万円ー報道）緩和対策ともなり、研究成果は実用化に向けて着実に進化している。

　(5)まずは臨床研究実験を通しての実用化に向けた「安全性」のリスク解消が課題だ。検証のための一定の成果、時間は必要だ。
　山中伸弥さんがノーベル賞授賞で述べた難病の人を救うための実用化へ向けてのiPS細胞研究が、７年で目標に向けて着実にスタートしたことは、また日本の先端的科学（医学）技術力、研究能力、スピードの高さを示すもので、近年揺れている高度研究機関での成果主義偏向での不正、疑惑続出問題に痛烈なアンチテーゼ（anti these）として反省と警鐘を鳴らすものだ。

　研究者は、真に研究にまい進すべきだと。