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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

話の魔法。 wonderful talking magic of lecturer z.k.

2014-09-07 14:44:35 | 日記
 多数の人前で話をするというのは、余程慣れた人でも楽しいというものでもなくて、緊張するものだ。600名程度の人の前で話をする機会は年に何度かあったが、テーマは決まっていて準備もして緊張することはさすがになかったが、時間に追われたり時間を持たせるのに苦労した経験はある。

 財津和夫さんの6月に京都で行われたNHK文化講演会のラジオ放送があった。チューリップ(tulip)42年の軌跡を辿(たど)る講演で、コンサートの財津さんしか知らないものにとっては、その人生、歴史、裏側での財津さんの苦労、葛藤の一部分が本人から直接語られるのは興味深いものである。

 ミュージシャン、コンポーザーの財津さんとすれば、「語り」は専門外のことであり多分に好きではないはずだが、その落ち着いたゆったりと流れる「語り」に、歌声とは反比例のやはり落ち着いた低い声とテンポの良さが聞くものに快適感をもたらす。

 財津さんの大学に招待されての長時間の講演会やイベントでの講演を好きで何度か聞いたが、テーマは同じであっても時間の構成で行き着くところは様々だ。
 京都でのNHK文化講演会はラジオ1時間番組で最後にはキーボードによる歌、演奏2曲もあったので、早い展開の回顧(retrospection)となった。

 「心の旅」のレコーディング当日の財津さんから姫野さんへのボーカル変更も詳しく触れずに、財津さんの進路を決定づけた浪人時代の福岡の橋の上で会った同級生の女性との強く刺激を受けた会話もなく、雨の鈴蘭、名古屋城コンサートなど音楽史上の歴史的なイベントについても触れなかった。大学での長時間講演では聞くことができる。

 ラジオ視聴者向けの構成上、松田聖子さんに提供した楽曲に関するやり取りが印象に残る話であった。詞を提供した松本隆さんとの打ち合わせでの模様を2人のかけ合い再現を交えて紹介し、レコーディングのために作曲者の財津さんが制作したデモテープもピアノ・バージョン、ギター・バージョンで聞かせて、実際にアレンジ(arrange)の入った本曲(完成曲)と比較するところは貴重な経験で興味の深いものとなった。

 かっての財津さんは当然のように話は苦手でと言っていたが、この日の講演の中では冗談とも本気ともつかずに、66才になって2時間余りステージで歌うことは大変なことだとも言って、今では講演会は貴重な収入源だと言っている。
 何やかや言っても財津和夫さんはとても話し上手だ。「語り」をよくわかるようにゆったり気分で伝える達人です。

 今回のNHK文化講演会も1時間番組にうまく編集されて、講演会当日財津さんが放送構成を見越してちょっとはみ出した余分なことをちょうど配分よく話しているように思えて、いつしか番組はとても締まったいい文化講演会になっていた。
 財津和夫さんの話の不思議な魔法だ。(wonderful talking magic of lecturer z.k.)

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