女性の時代と改革意欲。 women's days and innovative will

　(1)安倍首相が女性活躍担当大臣を設けて女性躍進、活躍を成長戦略の柱に据える。人口比率で男性より多く、より長寿の女性を社会資本として活用することは必然のことだが、仕事は男性、家庭は女性分立の儒教思想に根差した日本社会では、社会制度の考え方、取組みが変わらなければ実現するのは時間がかかる。

　政治、社会が女性の時代（women's days）といくら音頭をとっても、肝心の女性のモラル（moral）の中でその気にならなければ本当の力、社会資本とはならない。

　(2)安倍第２次改造内閣では冒頭のように女性活躍担当大臣と銘打ってわざわざ推進大臣を設けるところが、パラドックス（paradox）として女性進出がもっとも遅れている政治の世界の貧困実情をあらわしている。

　女性が意欲、能力、実力、実行で存在感を示して女性の時代を押し上げなければ、本当の女性の時代はやってはこない。

　(3)名古屋では毎年、「あいち国際女性映画祭」が開催されている。女性監督作品を取り上げて紹介、上映している。開催当初はものめずらしさの印象の方が強かったが、今や映画界は女性監督の進出、活躍が顕著で女性の時代を能力、実力で先取りしている分野だ。

　映画製作スタッフの同運営委員は「映画祭の名前から『女性』を無くす映画祭にしたかった。映画に女性も男性もない」（報道）と、この気概、意欲が自然に女性の時代を社会に定着させるものとなる原動論（dynamism）だ。

　(4)改造内閣で女性５人の最多に並ぶ大臣誕生が注目を集めて、女性活躍担当大臣を設けて企業の女性役員３０％目標の中で女性の時代を印象づけられている内では、女性の社会進出の定着にはほど遠く、女性自らの意欲、能力、実力、実行力で認められてこその期待される女性の時代到来だ。

　(5)その女性の時代を実力、能力で先取りした感のある映画製作で、今年のモントリオール映画祭ではベテラン女優の吉永小百合さんが審査員特別大賞を受賞し、呉美保監督が最優秀賞監督賞を女性がダブル授賞した。

　近年では０９年にカンヌ映画祭で河瀬直美監督が女性監督としてはじめて「金の馬車賞」（映画祭に貢献した監督）を受賞しており、海外映画祭での日本女性映画監督が高い評価を受けているのは喜ばしいことだ。

　(6)これは個性能力、特異能力の世界ではあるが、個性、特異の中で女性の能力、実力が目立つことは女性の社会躍進、活躍をより強く印象づける効果があり、日本の女性の時代を実力、能力で強く推進するものだ。

　男性絶対優位社会の映画製作の世界に女性の進出、活躍の場を拡げた効果は大きい。
小説の芥川、直木賞でも近年は女性作家の受賞、候補作品が目に付く。確実に女性の時代は進みつつある。

　(7)一般社会においても、女性社会進出の障害としてただ社会制度の不備、不整備を指摘する他人任せだけではない、女性自らの改革意欲（innovative will）、実行、実現で閉鎖社会に風穴を開けることが必要だ。

　成長戦略に女性の社会進出は避けられない。