いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

両刃の剣。 double edged sword

2015-07-05 14:52:53 | 日記
 (1)中国の防衛費の増大による南シナ、東シナ海への海洋進出に対して日本をはじめアジア諸国、米国から懸念が強まっているが、中国外務省は定例記者会見で日本の防衛費は「一人当たりでは中国の5倍だ」と述べて「中国の軍事力の発展に対して日本がとやかく言う権利はない」(報道)と批判している。

 13億人を擁してGDP世界第2位の経済大国中国ではあるが、一人当たりのGDP換算では1億2千万人の日本の方が高く、比較生活水準では日本の方が高くなるが、しかし同じ論法で国民13億人と1億2千万人を比較して一人当たりの防衛費は日本の方が高いと言われても、ひとりひとりの生活水準の比較方法論と国全体を守る領域比較論を同じ価値基準の一人当たりで比較することに無理難題がある。

 (2)こういう基準の違う比較論を中国外務省の記者会見で公然と主張するところに中国の拡大軍事戦略による防衛費の増大に対する国際社会からの批判に神経質になっている証しでもある。

 軍事費の領域比較論から、日本の何十倍にも及ぶ広大な国土の領域防衛費の負担増、比較検証を持ち出すのならまだしも説得力はある。

 (3)昨日はNHK特集の安保法制案に対する与野党討論でも、集団的自衛権の行使参加による自衛隊員のリスクとともに国民の安全リスク論が展開されていた。
 野党の言う日本が直接攻撃を受けた場合に(個別的)自衛権を行使するだけなら、国民の安全リスクは比較高くなり、日本が攻撃を受けないために同盟国と協力して抑止力(自民党の言う集団的自衛権の行使)を発揮することが国民の安全リスクを最大限に縮小することになるという論理だ。

 (4)国民の安全リスク軽減論だけを見ればその通りだが、抑止力論はたとえばホルムズ海峡が機雷封鎖されて石油が日本に入ってこない場合に、それが日本に対する存立危機事態として自衛隊がそこまで出かけて掃海作戦を行うということになれば、日本からはるか遠く離れたところのことでありながら自ら逆に日本を標的とする戦争リスクを高めることにもなることが想定されて、両刃の剣(double edged sword)でもある。

 一方的な都合のいい論理で自己利益の正当性を主張するのは政治の問題ではない。安倍政権の1強多弱時代を背景とした権力構造が都合のいい論理展開で、それが政治の役割、問題だとばかりに憲法、国内法遵守より国際法、同盟関係を上位規定にして論理矛盾の上に同盟国米国に追随して誤った国際貢献をはかろうとしている。

 (5)国民の安全リスク軽減論は比較基準不適切によるとってつけた矛盾論(theory of comparative contradiction)である。

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