都市対抗の論理。 logic of an intercity baseball championship

　(1)企業がイメージ戦略としてスポーツに積極的に投資（investment）をするのは日本的な経営方法論のようだ。海外では大会スポンサーとしての企業の投資はあっても、企業としてスポーツに投資する話は聞かない。クラブチームが主体のスポーツ投資だ。

　日本の場合は年間を通してプロ野球が国民的スポーツとして関心と興味を集めているが、何といっても春、夏の甲子園高校野球が郷土愛を代表するスポーツとして人気定着しており、企業としても地域、地元密着型の「心」をひとつにする、できる媒体としてスポーツとりわけ国民的関心、興味の高い野球に投資することが企業活動、宣伝にも効果的であるとして、全国的に組織的に企業として取り組むのが企業マインドにもなっている。

　(2)それを具現化した都市対抗社会人野球大会（an intercity baseball championship）の季節がやってきた。高校野球の郷土愛、地元愛を全面的に拡大展開した都市を代表する社会人野球チーム同士の全国野球大会だ。

　一企業として地域、地元を代表して予選リーグを勝ち上がり、地域を代表する一都市の代表となると、予選を通して活躍した敗れた相手チームの選手を代表チームが補強できるという代表チームのそれでも弱点を補強して正に都市を代表する独特の都市対抗の論理（logic of an intercity baseball championship）、最強チーム編成により都市名で戦う都市対抗野球全国大会だ。

　(3)実際は都市代表ほどまた高校野球の郷土愛ほどに都市一体となっての応援というのは見られないが、その代わりにというべきか企業全社一体となった応援体制は都市対抗野球の名物（a special attraction）にもなっている。

　春、夏甲子園高校野球とあわせて今やこの季節の日本の風物詩ともいうべきものだ。主催する新聞メディアでは都市を代表して出場する代表企業チームの社長が登場して応援メッセージを紹介している。

　(4)大企業中心ではあるが中には新興企業も目につくようになって、企業におけるスポーツ野球への投資、取り組みが企業活動効果を十分に後押ししている様子も見受けられる。
　まだ数百人の従業員企業でありながら、周囲の懸念を押し切って創業者社長がいち早く野球部を創設して全社一体となって今や都市対抗に連続出場を果たしている地方の躍進新興企業もある。

　社長のメッセージでは総じて都市対抗を目指す企業野球は、グローバル時代に世界規模で従業員の「一体感」を生んで企業業績成果、効果にも大いに貢献すると期待する声が多い。野球とあなどることなどできないものだ。

　(5)企業野球の場合には、選手引退後に今度は企業幹部として重職に就き企業業績に力を発揮している（恩返し）人も多く聞き、投資効果も間違いなくある。
　都市対抗野球とはいえまだ企業をあげての大会であり、文字どおり都市をあげての企業マインドの高揚につなげるような戦略が必要だ。

　企業としては得意の戦略分野であり、地方創生にもつながる都市対抗野球となることを期待したい。