いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

安倍式サーカムスタンス。 circumstance of premier abe style

2015-07-22 20:09:12 | 日記
 (1)安倍首相というのはよく言えば無邪気、悪く言えば(あくまで悪く言えば)脳天気な人だ。安保法制案の国会成立にあたって、よく日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化したことを理由にあげているが、そうなった原因のひとつに安倍首相の「言動」があることは省(かえり)みない。

 確かに極めて国内的問題である靖国参拝であるが、中国、韓国がかっての日本のアジア植民地占領支配で受けた被害に反省と謝罪を求めて、象徴としての当時の日本の戦争首謀者のA級戦犯が合祀されている靖国神社を首相が参拝することに抗議を続けているなかで、安倍首相はこれを無視して靖国参拝を強行して日中韓首脳同士がそれぞれ就任後1年以上も首脳会談を行わない異常な外交断絶(broken off)を招いた。

 (2)尖閣諸島領有権問題は前民主党政権時の国有化が中国の批判、反発を招いて、その後中国の領海、領空侵犯による軍事的干渉を招いている。首相の靖国参拝はそれ以前の歴代首相の時にも中国、韓国から批判、干渉はあったが外交断絶のような極端なことはなく、尖閣諸島領有権についてはひとまず棚上げして日中ガス田共同開発プロジェクトが進行して波風は立たなかった。

 尖閣諸島領域海底に石油資源が発見されたことによる中国の干渉が始まったともいわれているが、安倍政権になってから連日ともいわれるように中国軍による尖閣領域への侵犯が顕著になってきているのはあきらかだ。

 (3)何のことはない、東アジア安全保障の環境の変化、悪化は安倍政権が自ら招いたところも大きいのだ。安倍政権自らが招いた日中韓緊張関係を棚に上げて、危機事態に向けての安保法制案は「絶対に必要」なものと強調して、国民の過半数が反対し違憲だとしてまた80%が説明が不十分だと考えるなかで数の力で衆院を強行採決で通すなどとは、安倍首相の頭のなかは一体どうなっているのか理解不能のシナリオだ。

 ある意味安倍首相の自作自演(own work and own act)でもある中国の東シナ海の海洋進出に懸念を示す2015年「防衛白書」が閣議で了承された。
 同白書では「日本を取り巻く安全保障環境の悪化を強調」して安保法制案の制定を急ぐ必要性をあげているが、前述のように本末転倒のところがある。

 (4)中国、韓国の歴史認識問題に対して適切に判断、対応、配慮をして、日中韓首脳会談を前進させて外交関係を正常に軌道に乗せてかっては尖閣領域の日中海洋資源開発プロジェクトで協力関係にあった関係構築に戻すことが、中国による東シナ海の安全保障の環境悪化の「改善」につながるもので、そう努力すべきことである。

 自民党国防部会は同白書発表にあわせて「安保法制案がなぜ今必要なのか、国民に自分のこととして考えてもらうことが大事だ」とこれまた脳天気なことを言っているが、そのために国民の80%が説明不十分だと言っている訳だし、国民の過半数が反対しこれにより安倍内閣支持率は50%を上回ったことをまったく問題、理解していない発言だ。

 (5)安倍首相には8月に発表する「戦後70年談話」で戦争のない平和国家日本の戦後70年を深く考えてほしいと書いたが、日本を取り巻く安全保障の環境がどうしてこれほどまでに悪化したのか、中国の海洋進出だけでない安倍首相自らの政治姿勢についても考え直す必要がある。まるで他人事すぎる。

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