いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

戦後70年の意味。 meaning of postwar 70 years

2015-07-23 19:47:45 | 日記
 (1)戦後70年(postwar 70 years)がどういう意味があるのか、50年、100年となれば区切りのよさはあるが、日本にとっては「安倍首相」が違憲の声を押し切って安保法制案を確実(60日ルール)に成立させる年に「戦後70年談話」を今夏に発表することになって、特別の「戦後70年」なった。戦後70年談話は出さざるを得なくなった。

 それに合わせた訳でもないだろうが、中国が「抗日戦争勝利記念日」の式典を9月3日に行う。中国にとって「戦後70年」がどういう意味を持つものかはよく分からないが、「安倍首相」の「戦後70年談話」には旧日本軍のアジア植民地支配に対する反省と謝罪の文言を求めて関心が高いところを見ると、それに合わせた「あてつけ」の抗日勝利記念式典の色合いの濃いものだ。

 (2)さらに中国政府がこの式典に他の外国政府代表に混じって安倍首相を招待すると発表したのには驚かされた。旧日本軍によるアジア植民地支配による中国人民への被害影響は、今も歴史認識問題として中国の日本への批判、反発として両国の外交摩擦の重要問題となっているが、当時加害国の日本の首相をあてつけがましく招くということなど外交常識では考えられないことだ。

 端から受け入れられない抗日記念式典への安倍首相招待を公然と申し入れるなどとは、あくまで安倍首相への歴史認識問題への反省と謝罪を強く求める中国政府の不変の立場と「戦後70年談話」への強い関心を内外にアピールする狙いがあるものとみられる。

 (3)さすがに日本政府は抗日記念式典への招待は正式に聞いていないと応じるしかないが、日中両政府の思惑は式典時期を外しての安倍首相の訪中で一致しており、靖国不参拝、村山談話の踏襲などの中国側の条件付きで検討を開始(報道)しているようだ。

 中国側の抗日記念式典への安倍首相の招待は、あてつけの政治的優位性(advantage)をあらわすポーズであって、日中首脳の関係改善、話し合いに向けて主導的な立場、役割を果たしたい、示したいあらわれだろう。
 契機は何であれ日中首脳が会うこと、話し合うことは重要なことであり、双方に歩み寄りがみられるのは明るい関係改善でもある。

 (4)中国はGDP世界第2位で供給の高い巨大市場を持ち、AIIBでも指導的役割を果たして経済活動では経済成長の著しい新興国を代表するルール、存在感を示しながら、国内政治的には人権派弁護士を大量に拘束して思想統制を強め、前政権の幹部の汚職がらみの粛清を続けて現政権の安定基盤を強固にする従来の統治手法のくり返しで反発も多く、人権抑圧、透明性の欠如による国際的な政治信用度、信頼度は低い。

 (5)経済と政治のインバランス(imbalance)の大きさは、内容は違うとはいえ日本と中国の抱える共通課題でもある。
 中国の軍事力「増強」による南シナ海、東シナ海への海洋進出を、中国13億人と日本1億2千万人との軍事費一人当たりの主観的な中国に有利なデータ比較で示す自己都合主義(principle of self circumstance)は、経済大国とは不釣り合いな中国像だ。

 (6)13億人を擁する中国が政治的安定をはかる、求めることは容易ではない。健全な統治能力がはるかに限界を超えている。
 今後も国民の目を海外に向ける政治手法はくり返されて、必然的に周辺国、米国とのあつれきは残る。

 安保法制案の成立を目指す安倍政権も似たところ(海外に国民の目を向ける)があり、こちらの方は13億人より密度の高い1億2千万人の善良な管理者、主権者としての国民ひとりひとりの良識、見識、判断力の高さが試されることになる。

 

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