いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

グローバル・インバランス。 global imbalance

2015-07-24 20:19:56 | 日記
 (1)情報化時代というのは高度な技術革新(technical innovation)の時代だから、理念よりは具体化、具現化した高い技術力、生産性の価値観が絶対力を持つ時代、社会でもある。

 どこにいても、歩きながらでもスマートフォン、フェイスブックで情報を取得でき、相互にやり取り、通信も可能なある意味高度に発達した便利な時代だ。
 自分の細胞からあらゆる細胞、臓器が作製できるiPS細胞や高鮮明、省エネのLED開発など先端的科学、医学技術開発研究は、確実に社会、時代を大きく変える研究分野で、未来社会を見据えた技術革新の時代を先導するものだ。

 (2)大学では理系、医系分野で人気も注目も高い。世界が毎年注目するノーベル賞選考でも、医学、物理学、化学の自然科学系分野から発表されて注目度も高く、続く経済学、文学、平和の人文社会科学系の分野は注目度も低い。

 日本はノーベル医学、物理学、化学賞では、ここ10年間では米国に次いで多くの授賞者を輩出しているが、経済学、文学、平和賞では数えるほどの少なさだ。

 (3)そんな日本の高度専門教育の事情を背景にしているのか、文科相が所管する国立大に対して教員養成系や人文社会科学系学部の廃止、見直し(報道)を求める通知を出した。

 どうやら人文社会科学系分野は改編して、社会にすぐ役に立つ職業能力、技術の開発を目指す学問を想定しているらしい。
 法曹人養成のための法科大学院は最近は募集定員を割る大学が相次いで、司法試験の合格率も低く存在価値が見直されている。
 どうやら人文社会科学系分野は社会に役立つ人材を育てられないと思われているらしい。

 (4)英国の教育制度は若くして高度な専門分野研究への道か、技術職能開発への道かに仕分けられる制度で、文科相が考えている大学改革の改編に似ている。
 それによってかどうかまではわからないが、英国政治では労働党の力も強く政権を交互に担ってきた。
 ビートルズやローリングストーンズに代表されるように世界の音楽地図を塗り替えるような特異な人材も輩出してきた。

 教育制度がいいのか悪いのかの判断はむずかしいが(人間の可能性を発展途上の若くして早くから決めるのは問題はある)、それぞれの特性を若くして認識させて早くから進むべき道を示唆するものだ。

 (5)日本の場合はどうか、戦後、高度経済成長路線に活路を見出して復興して当時
GDP世界第2位の経済立国を果たしたのは、当時の社会に役に立つ文系学部出身中心の社会構造だった。

 社会制度整備、社会構造戦略が発展途上の時代であったので、法律、経済学の専門知識、考え方が求められてもいた時代だ。
 今、日本の政治は安倍首相が目指す安保法制案の違憲か合憲(憲法解釈の変更)が社会問題となっているが、理系出身の政治家ではそう簡単に違憲の憲法解釈変更に割り切れないのではないのか。

 (6)経済に比べて政治が劣化していると言われる日本では、人文社会科学系分野の充実も必要だ。高度に専門的な学問の分野では価値観が偏ることなく広い視野観(a field of view)、物の見方、捉え方は必要だ。

 社会構造も同じで、情報化時代に科学技術、技術革新に特化した時代観は広い視野観に欠けて、歯止めが利かないようだ。
 健全なグローバリゼーション(wholesome globalization)社会のために、文科相の大学の人文社会科学系学部の廃止、見直しは利益にならない。

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