いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

官邸主導の危険。 dangerous initiative of an official residence

2013-01-26 19:42:52 | 日記
 (1)安倍首相は言動からも相当「自意識」の強い自信家、政治家だ。そうでもなければ二度も一国の首相などにはなれない素養でもあるが、首相になったらなったで国全体の権力、機能、行政、機構を取りまとめるために配慮しなければ働くものも働かないことになる。

 7年前の第一次安倍政権では、内閣に側近、支持者を集めて「官邸主導(initiative of an official residence)」型政治を目指したが大臣の失言、更迭が続いて、一旦問題が起きると独断専行へのアンチテーゼ(anti these)としての政府、与党の協力、支援、機能が働かずに孤立無援となって、政権危機を招いた。

 (2)今回の第二次安倍連立政権では、前回の教訓を踏まえて内閣に与党自民党から幅広く人材を登用したと言われているが、全国党員支持率では安倍さんより高い支持を持つ党幹事長の石破さんのグループには距離を置いてこれらを排除した。

 安倍内閣誕生からは安倍首相のメディア露出が際立って、デフレ脱却のための物価目標2%達成の大胆な金融緩和を日銀に強要して、緊急経済対策、大型補正予算、国債発行による公共事業推進を主導している。
 この間に円安、株高効果が続き首相への追い風となっているが、ほとんど蚊帳(かや)の外の与党自民党の動静はなく、この「官邸主導」に不満も多い。

 (3)党員支持の高い石破幹事長は、前回の衆院選中は寝台特急を乗り継いでの全国遊説で注目も集めていたが、安倍連立政権誕生後は内閣から同支持グループが外されたこともありすっかりメディア露出も減ってまるで存在感はない。

 安倍首相のこだわり官邸主導型政治により、与党自民党とのあつれきが強まっていると言われている。第一次安倍政権同様に、結果がともなって追い風、順風満帆の時はいいが問題、波乱が生じたときの政府、与党の結束、協力機能が働いて難局を乗り切ることが出来るのか、前回教訓から政府、与党の幅広い結束で滑り出したものの、第一次安倍政権時の官邸主導のこだわりの脆(もろ)さが再び懸念される様相だ。

 (4)今回のアルジェリア・プラント・テロ人質事件での政府の危機管理、情報収集能力不足を受けて、首相は法改正も含めて危機管理機能を「官邸に集約」することを表明している。
 官邸主導は、意思決定能力、スピードは各段に向上するが独断、独善先行に陥りやすく、政府、与党の一体性、協力、補完、チェックバランスが機能しない危険性(dangerous initiative of an official residence)もある。

 官邸主導で先行する緊急経済対策、補正予算、13年度予算編成方針で政府と与党自民党のきしみも出ており、政府、与党の不協和音は前民主党政権崩壊のシナリオでもあった。

 (5)25日ニューヨーク市場では一時1ドル91円台の円安が加速しており、安倍連立政権の金融緩和促進による経済政策に対してドイツをはじめ財政金融不安の欧州(EU)からは、為替操作の「通貨安政策」との日本批判も高まっている。

 さんざん円高ドル安で日本への経済影響を押し付けてきた欧州(EU)の身勝手さだが、これにより各国の日本への経済制裁措置(関税強化)が強まれば「官邸主導」先行だけでは行き詰まるだろう。

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テロ犠牲者の氏名公表。 publication of terror victim's name

2013-01-25 19:46:23 | 日記
 (1)アルジェリア・プラント・テロ人質事件の日本人犠牲者(terror victims)10人全員の身元が確認され、9人は今朝日本に帰り、残り1人も現地手続き終了後明日には日本に帰る。
 アルジェリア天然ガス関連プラント事業に参加している日揮は、同テロ事件での自社関係技術者の犠牲者10人ほかの氏名公表を控えてきた。

 同社広報は「無事だった駐在員も相当な精神的ダメージを受け、また遺族など関係者に取材が殺到している」(報道)ことを理由にあげている。
 報道の自由、国民の知る権利(righgt to know in the nation)を責務とするメディア各社は犠牲者の実名公表と無事が確認された人の記者会見を同社に要請している(本日、政府の責任で犠牲者10名の氏名が公表された)。

 (2)政策には「光」と「影」は付きものだが、報道には「光」と「影」があってはならない。遠くアルジェリアでの国際協力プラント事業で日本人10人がテロ犠牲になった痛ましい事件について、アルジェリア政府の情報統制(information control)で情報不足の中、「起きていること」が錯綜して安否もふくめて確かなことがわからずに、政府、日揮をはじめ関係者、国民に不安、もどかしさは増すばかりであった。

 そこえきて、日揮が独自の現地プラント・サイドから知り得た事実情報を公表しないとなると、世界多国籍関係者に及ぶプラント・テロ事件の日本事態はひとり闇の中ということになる。欧米関係国ではすでに犠牲者、関係者については写真入りの実名報道がなされて(報道)、犠牲者への哀悼と無差別テロ非難の情報共有で国民意識の高い関心に応えていた。
 日本への現地情報も関係被害国ネットからの提供で確認のしようもないものだった。

 (3)アルジェリア天然ガス関連プラント事業は日揮の企業プラント展開ではあるが、イスラム武装勢力の標的となったのはアルジェリアであり同プラント協力国であり、その中に「日本」もあった。
 同テロ事件で逮捕されたテロリストは、テロ指導者から仏、英、日の5人を人質に取るよう指示されていた(報道)と語っていると言われている。

 同プラント・テロ事件は一(いち)日揮の企業プラント攻撃の範疇ではなく、隣国マリのイスラム武装勢力への仏軍の空爆、地上攻撃を引き金とした多国籍を標的とした無法な国際テロ無差別攻撃なのだ。

 (4)アルジェリア政府の情報統制の中で、日本政府、日揮が知り得た情報をひた隠していては同犠牲者は浮かばれもせずに、国民の無念さは募(つの)るばかりだ。
 犠牲者に対する個人的、一般的想い、哀悼は、日揮にかかわった人以外にも全国にわたってつながりが散見されることは十分に推測される。

 悲惨なテロへの怒り、その犠牲者への哀悼の共有は国民すべての共通した想いだ。そのための犠牲者氏名公表(publication of terror victim's name)、情報提供、報道の使命でもある。

 (5)報道には「光」と「影」はあってはならずに、もちろん犠牲者、関係者への善良で良識ある情報、報道、取材の配慮がなされなければならないのは当然だ。
 それを「判断」するのは、報道(media)の見識、良識であり、事件当該者の情報管理ではなく、企業当事者でもない。
 

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軽率な2月退職金減額。 rash a reduction system of retiring allowance

2013-01-24 19:39:38 | 日記
 (1)公務員の給与水準が民間企業水準よりも高い人事院勧告による指摘を受けて、議会の承認を受けた地方自治体では地方公務員の退職金減額措置(reduction system of retiring allowance)を打ち出した。

 この結果、定年退職を迎える世代では退職金減額措置前に駆け込みの一斉早期退職希望が教員、警察官を中心に全国で殺到している。
 自治体が年度主義の常識的な新年度4月からの同減額措置を実施していれば起きなかった現象だが、年度途中、年度末を迎えた2月からの減額実施を打出したことによる異変だった。

 (2)自治体では年度末定年退職予定者を少しでも早く退職に導き、その分の人件費の節約効果、財政効果を狙ったものだが、それに目が眩(くら)んで年度末を控えた業務総決算への支障まで頭が回らなかったか、パブリック・サーバント(public servant)公務員の忠実犠牲心にかってに期待したのか、または臨時対応で十分カバーできると踏んでの意図的な臨時職員対応移行方針のあらわれかだ。

 埼玉県では、2月早期退職募集対応で年度末までに50億円近い人件費が節約(報道)されるというデータもある。100人単位以上での教員、警察官の早期退職希望者も出る自治体もあって、まだまだ全国に波及する勢いだ。

 (3)早期退職教員では教頭をはじめ多くの学級担任も含まれて、学年末生徒成績評価ほか年度末業務への支障は必至だ。
 メディア、市民の一部からは「二十四の瞳」の映画映像まで流してかっての時代的な聖職者としての教員の社会的使命観まで例にして、今回の学級担任の無責任判断を批評、非難しているが、当事者は生活度を考慮しての制度を有効利用しただけのことで、「非難」されるべきは予算節約効果、財政効果を優先した年度末2月に減額期限を設定して、教員個人の責務と負担と犠牲心だけに押し付けようとした「自治体」にある。

 人件費は当初年間予算執行の中に計画的に組み込まれたもので、業務効果主義での予算執行は当然のことであり、退職金減額措置など制度改革は区切りのいい新年度4月からの実施にすべきであったのだ。

 (4)また高い公務員の給与水準を民間企業並みに下げることは原則論ではあるが、「一律(equality)」という訳にはいかない。
 公務員と民間企業では業務の性質、対象、範囲、影響に違いがあり「一律」同列という訳にはいかない。たとえば警察官は比較危険度の高い職種であり、社会正義、安全維持のためにはこういったものには積極的に投資して危険度に見合った相応の手当は保障すべきだ。

 自治体によっては今回の減額措置で定年退職予定者の半数程度の警察官が早期退職を希望していると言われている。
 近年、警察官の不祥事も多く質的劣化はあきらかで、相応の危険手当水準の保障で有能な人材を確保して警察力の質的向上が求められている。

 (5)今回の自治体の公務員退職金減額措置の前倒し(2月実施)一律執行は、思慮展望に欠ける一方的都合による軽率(rashness)なものだ。
 
 

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政府・日銀の共同声明。 accord

2013-01-23 19:39:01 | 日記
 (1)首相官邸で中央の安倍首相から右に向かって麻生副総理・財務金融相、甘利経再相と自信満々な安倍内閣の経済閣僚が胸を張ってデンと座り、その横に場違いな感じで伏し目がちな白川日銀総裁が妙にかしこまって座っている今日の新聞のトップ写真だ。
 デフレ脱却を最優先課題とする安倍内閣が、日銀に物価指数上昇率2%(物価目標)実現のための大胆で強力な金融緩和を求めた政府と日銀合意の「共同声明(accord)」が発表された。

 日銀総裁が「(物価目標2%達成に)相当、思い切った努力が必要」と実現までのむずかしさを言い、安倍首相は「画期的な文書」と自画自賛した。

 (2)ここ10年来、物価水準は「0%」かマイナス成長が続いており恒常的なデフレ不況の中にある。さらにバブル経済時代でもせいぜい同「1%」程度(統計)であったことを考えれば、物価目標「2%」実現の困難さがよくわかる。

 前民主党政権時代の政権末期に当時の前原経産相が日銀の政策決定会合に乗り込んで(出席資格はあったが、それまでは出席していなかった)、さらなる金融緩和を求めた日銀との「共同文書(accord)」でも「1%を当面『目指す』」にとどめていた。
 日銀が国債信用を失う懸念からの日銀の独立性(independency)を強く主張、維持するとともに、末期的前民主党政権の不安定な足元を見定めた方針だった。

 (3)安倍連立政権誕生で市場は一気に円安、株高に転じて、政府の日銀法改正にも言及する日銀への強い金融緩和策要請(強要)の中での、手のひらを返したような政府の物価目標2%同意への日銀の変貌だった。

 長引くデフレ脱却には、前民主党政権の「未来世代にツケを回さない」だけの緊縮財政金融政策では当時のデフレ、円高不況、雇用不安、震災社会への回復効果はなく、一時的にも(財政規律、健全化の目標設定も大事)国債発行に頼っても経済、景気回復政策シナリオは選択肢だった。
 どの世代がその責任をどの比率、配分で負うのかは、公平、公正な展望、計画判断も必要だ。

 (4)冒頭に述べたトップ写真が示すように、政治、政府の日銀介入が露骨に表面化している。日銀の独立性は、政治、政府の財政金融政策による社会の実体経済安定維持のための監視、調整であり、政治、政府方針に意義もなく加勢、従うだけのものではない。

 日銀がデフレ脱却のために同時に主張した政府の成長戦略推進は「共同声明」からは漏れた。
 安倍首相も自民党総裁なら、白川さんも日銀総裁だ。日銀の独立性を言うならば、日銀総裁を政治が選ぶ(国会の承認)方式を変えなければならない。

 (5)日銀は今後、無期限で物価目標2%達成のために月13兆円規模で国債など資産を買い入れて、市場へのお金の供給量を増やす。
 一方、企業経営者は春闘のベースアップに否定的で、仮にデフレ脱却してもすぐに賃金アップには結びつかないと消極的企業保身だ。

 どんな政策でも「光」と「影」はある。政策実行効果のための環境整備、優先順位と政策混合率効果の問題だ。

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プラント・テロの危機管理。 risk management in plant against the terrorist

2013-01-22 19:29:26 | 日記
 (1)政府は海外旅行者、同業者に対してレベル5段階で渡航先危険情報を出して、日本人の安全リスク対策(risk management)を実施している。
 現実的には、その時にはメディアでの紛争、テロ情報で関係当事者は危険度を判断しており政府の危険情報は後追い指定がすべてで、実質的に責任回避型の受動的な形式的渡航自粛措置だ。
 政府は外国駐在大使館、また同盟関係国を通じて世界の幅広い危険情報管理(risk management)、収集、分析にあたっているはずだが、今回のアルジェリア国際協力天然ガス関連プラント(natural gas plant)内でのテロ人質事件ではまったく効果がなかった。

 (2)隣国マリではアルジェリアに隣接する北部一部地域がイスラム武装勢力に支配されて、これに仏軍が空爆を繰り返して地上軍も投入しての戦闘状態が続いている。
 アルジェリア政府も含めて国際プラント協力国間で安全リスク管理がどれほど「共有」されていたのか疑問だが、結果としては30名以上にも及ぶイスラム武装勢力による襲撃を受けて多数の人質を取られて立てこもられて、事件発生2日後にはアルジェリア軍の施設強硬攻撃で人質8か国37人(同政府発表)が犠牲となる惨事となった。その中で日本人プラント技術者7人の死亡も確認され、いまだ3名の安否が不明だ。

 (3)マリでは仏軍とイスラム武装勢力の間での戦闘で、隣国アルジェリアは関係外と思っていたのか、まして国際協力事業の天然ガスプラントが標的になることはないと思っていたのか、隣国マリがテロ戦争の標的現場となっていたにしては、同プラントも含めてアルジェリア国内の「特別」警戒体制にはなかった結果のテロ惨事だ。

 アフリカ大陸は長い部族間対立、政情不安が途絶えることもなく続き、またその戦火が最近は激しくなっていた。
 専門家の話では、昨年末から危険情報はあった、ということだが、分析できず(報道)に今回の惨事につながった。

 (4)「危険情報(risk information)」が「共有」されずに見逃されてきた原因について徹底した検証が必要だ。
 結果論でなくて、紛争激化のアフリカ北部の国際協力プラントに対する日本政府の安全情報管理、危機管理の不備、不足はあきらかで、砂漠の中の国際協力プラント内での多数人質という閉鎖された危機的状況の中でのアルジェリア政府への「人命優先第一」の要請も、最悪のむなしい結末となってしまった。
 アフリカ大陸のテロ対策は仏軍中心で、米国が関与していなかったことも日本の情報収集能力には影響したのではないのか。米国追随一辺倒チャンネルの弊害だ。

 (5)アルジェリア政府は、自国への世界各国の国際協力プラント開発事業の安全よりも、一方のテロに毅然(事件発生2日後の強硬攻撃)と闘う国内事情、姿勢優先を実証したが、事前の警戒体制も含めてこれは極めて偏(かたよ)った不備対応であった。

 日本の高い先端的技術開発力は世界が対象だ。日本政府にはこういう国もあることを理解しての、徹底した「事前」の危険情報の管理、収集、分析、発信体制の緊急の構築が生命線(life line)だ。
 

 

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