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誰が狂っているんだろう。/中野ユウスケ「アリスと不思議な国のうさぎ」 感想(ヤングジャンプ2018年27号)

2018-06-07 | ヤングジャンプ感想
                             










例えば、
理解し難い行動理念や思想を目にしたとして、
それを「周りが受け入れてれば」、“正しい”のはそっちになると思うんですよ
本来、正論で言えば自分や誰かの方が正しかったとしても、そこにポピュラリティはない
だから、「自分はまとも」だなんて、本当は誰も言えないんじゃないか・・・そういう作品だったと思います。






全部を捨てて、
快楽に溺れるような人たちも、
「自分の目から見れば」狂っているけれど、
そうじゃなきゃ精神を保てない人たちにとっては、
「しない人々」の方がどうにかしてる、訳が分からない・・・そう見えてるのかもしれない
そもそも、命懸けで“正解”に向かうだけが人生の正解とも直結しないと思いますしね。
誰にも気にされない、咎められない世界で、無法を繰り返す喜びに興じるのも一つの選択肢だったのかもしれません。





結局、
人は自分の価値観だったり周りの人の価値観を物差しにして「誰か」を糾弾したり批判したりするけれど、
そんな自分自身もまたそんな「誰か」からしたら狂っていたり軽蔑の対象になっているのかもしれない
だとしたら、本当に「正しい」人間なんて本当はどこにも居なくて、
真実は、
誰もが“狂った価値観”の元で生きている、、、という事なのかもしれない
人によって、場所によって、当たり前の事も当たり前じゃない事も全然異なる
そう考えると、
人生は、
生活は、
いつもどこでも“不思議の国”への旅立ちなのかもしれない・・・
そんな哲学的かつ良くも悪くも勧善懲悪の欠片もない独特の読切でございました










ただ、途中までの内容が結構アドベンチャーっぽくて、
その辺は少年漫画っぽさ?もあって新鮮で良かったですね
その分、乱交のシーンから一気に青年誌っぽくなっちゃいましたが(笑
相変わらず複雑な読み味の漫画を描く作家さんで、「Drive」以来の新作、存分に堪能させて頂きました。

正直、万人受けするような内容ではないし、確実に読む人は選ぶと思いますけど、
それでも頑なにこういう種類の漫画を描き続ける中野さんを個人的に支持しています。
応援も込めて、「個人的に」プッシュします。