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【レベル1からの冒険譚】「灰と幻想のグリムガル」の作劇の誠実さに関して~5話までの感想

2016-02-09 | 灰と幻想のグリムガル
                                   
                                 独特の背景もまた魅力の一つ。
                                 特にこのカット超好きです。










皆さんはファミコンの「ドラゴンクエストⅡ」をプレイされた事があるだろうか
自分はドラクエはファミコンのⅢが初体験で、Ⅱはそこから遡ってプレイしたタチなのだが
最初から有能な面々を連れて歩けるⅢとは違って脳筋・器用貧乏・非力というどいつもこいつも何かが足りない面々、
かつ雑魚敵にすらあっさり殺されたり全滅させられてしまうナチュラルなハードモード、
更に途中から(明確な)ヒントも少なくなり攻略自体も困難になっていくという三重苦を抱えたゲームだったのだが
いつ詰むか分からない、いつ全滅するかもしれない「ドキドキ感」があるのもまた事実で
あれこそ本当の意味での「冒険」と言っても構わないんじゃ、と今では思う位である
何が言いたいのかというと、今アニメ「灰と幻想のグリムガル」にもそんな「冒険」的要素がたっぷり詰まっていて世代的に堪らない、という事です




まず、最初の内は一匹のゴブリンを倒すにも四苦八苦していて
一匹を倒すのに6人がかりでようやっと、というリアルRPG的要素がたまらなく面白いです
敵も「悪」ではなく、お互いに「生きる為に」戦う~という勧善懲悪からも完全に外れた作劇は
誠実以外の何ものでもなく、無暗に主人公たちを正当化もしない生々しさに満ちています
最初の敵をようやく倒せた時、涙を流しながら二律背反の気持ちに溺れている様は
色々な意味で感動的であり、叙情的であり、また達成感と空しさに満ちている複雑な相様を醸し出していて
ここには本当の意味での「冒険」、必ず勝てるという保障も自分が正しいという理由も何もない
そんな良さが確実にある!と自分の中で確信を持てました。生きるという事は「他人の椅子を奪う」という事ですからね。





しかし、そのまま「上手く行かない」相様もまたRPG的に超リアルであります
ドラクエⅡで言えばキングコブラやバブルスライムを楽に倒せるようになってドヤ顔で次のフィールドに進んだら
マンドリルやリザードフライに何度も惨殺、死滅させられるそれそのものですね
或いは余裕ぶっこいてしたり顔で宝物庫の番人に話しかけたら一気に殲滅させられるドラクエⅥの某光景にも通じていますが(笑
弱いゴブリンは余裕で倒せるようになり、なんだか楽観的な雰囲気がパーティの中で滲み出ていて
自分達の強さを勘違いしたトコロに更に頭がキレて強いゴブリンが登場、あっさりと、そらもうあっさりと仲間の一人が死んでしまうんです。
正にこれも「RPGあるある」と言っていい内容であり、他の作品が描いていない“厳しさ”であったと思います
自分達の強さを過信し、自分達のポテンシャルを勝手に多く見積もった「慢心」と「油断」から来た悲劇であり
最初からレベル99で無双出来たり、何もかもが上手く行く安易な作劇とは一線を画した生々しさを感じる作品ですね。

更に言えば、人間関係でも不信感があったり、不協和音が発生したりする徹底っぷりで
そういういちいち下らない事に引っ張られて冒険が上手く行かないジレンマも描かれています
まあ勿論時折は良い事があったり、成長を感じれたり、美味いものも食えたりと「達成感」もきちんとあります
だけど、そんな「達成感」を得るには時に骨を折ったり、死ぬほど苦労したり、逆境から足掻く事が大切なんだ―――――。
そういう事を丁寧に教えてくれるアニメにも(まだ途中ですが)既に仕上がってると感じています。

まあ、先述はレベル99だの安易な作劇だの批判的要素が強いと勘違いされそうな言葉も並べてしまいましたが、
逆に全部が全部これでも辛いでしょうし、やっぱりそこはバランスが重要になってくるんだと思います
要するにたまには「こういう作品があってもいい。」って事を伝えたいんですよね。
そりゃストレスフリーなのも十分楽しいけれど、
レベル1だからこそ、
誰もが誰も何かが足りないからこそ得られる充足感だってあるんだ。って話です
そしてそれを今期最も期待して良さそうなのがこの「灰と幻想のグリムガル」という感想ですね。





誰の所為にも出来ない、
誰もスーパースターなどではない
だからこそみんなが抱えている苦悩や苛立ち、諦めが吹き出し
やや退廃的な空気が漂う最新話(5話)は正にブルースそのものな内容でした
このやるせなさ、いたらなさ、どうにもならなさは(酒浸りという背景も加味して)現実のそれにも近いリアルさが含まれてましたが、
最終的にみんな(というかハルヒロとユメ)が導き出した結論は「みんなで補いあって頑張る。」というものでした
誰かに頼りがちな間抜けさ、滑稽さ、至らなさ、弱さを全部捨てて
それぞれがそれぞれに補い合って、支え合ってやっていこう、という
至極真っ当な結論で
誰もがそれぞれにダメだった。と認める展開もまた誠実そのもので魅入ってしまいました
でもそれもまた、パーティとしてもレベル1だった事を示唆してもいて、個人としてだけではなくパーティとしても成長して行く布石なんでしょうね
兎角、レベル1のまま未だに足掻いている彼らが、どんどんと少しずつレベルを上げて行く様相を見守るのが今はとても楽しみです
それと、ユメちゃんがあまりにも可愛すぎるので恋愛方面にもちょっと期待しています(笑
本当に、本当の意味で彼らの戦いはまだ始まったばかりなのだから。





しかし、男女パーティだからかちょいちょい官能的な要素が出て来ますね
長回しも多いアニメなんですが、最新話でのハルヒロとユメの終盤のあれに関しては
そのまま出来ちゃって、部屋でSEXに興じちゃってもおかしくない流れになってましたね
ユメも意外とセクシーで、非常に“オンナ”らしくて、めちゃくちゃ可愛くもあって興奮しちゃいましたよ(笑
そりゃシホルも・・・というか、シホルでなくても誰でもあれは勘違いすると思うんだけど笑
恋仲だと思われるわなあ、、、っていう。演出もまた素敵なもの、
キャラクターの心情に寄り添った演出が多くて
その意味でもおススメの作品です
ドラクエⅡだって、それぞれ単体では決して優れているとは言えない面々でしたけど
役割分担はきっちりしてましたからね。だから、このパーティの面々もそんな風に補いあって成長していってもらいたい。そんな風に思ってます。















あと、アイキャッチイラストも毎回センスあって最高です
浅賀和行さんによる臨場感たっぷりのバトルアクション、
監督の中村亮介さんによるキャラの心情に寄り添ったコンテ構成もまたいちいち面白いのでその辺にもまた注目です。
個人的にはランタが一番人間臭くて好きだったりします(笑 でもユメも大好き。




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