メリイは好感度上がったなあ(笑
当たり前と言えば当たり前ですが、
主人公たちの敵として存在するゴブリン達にも「生活」があって「楽しみ」があります
彼は彼らなりに、彼らの考えに基づいて行動している人間と同じ“動物”に過ぎなくて
その行動原理はきっと「生きる為」だったり、「仲間を守る為」だったり、人間とそう違うとは思わない
所謂勧善懲悪とは全く違う作中観と演出によって物語が進められていくある種の誠実さはこの話数でも光っていて
思わず、感動を誘っている訳でもないのに不思議と泣きそうになりがら観てしまいました>Aパート
そりゃどっちも生き抜く為に必死ですし、
あの仇役だったゴブリンだって殺されそうな仲間を守る為に放った矢がメリイに突き刺さったあれなんですよね
でも、だからといって、必死だからと言って生き残れる訳でもないのが勝負の常
勝敗はいつも紙一重で、そこには正々堂々なんて価値感も
敵を倒した爽快感なんかもあるわけがない
残るのは、
生きている方と
死んでいる方。ただ、それだけ。
でも、ゴブリン達にも暮らしや仲間想いな一面、みんなで集まって楽しむ豊かさがあったのもまた事実
それを奪うという事、それ即ち、生きるという事なんです。そんなこの世の理を表現していたような作劇は間違いなく今期では唯一無二だと思いました。
戦いは、楽しい事なんかじゃない
生きる事は、楽しい事よりも辛い事の方が圧倒的に多い
ハルヒロ達は、常に苦しんだり、もがいたり、努力し続けて今回のラストまで辿り着いた
だからこその、説得力のある達成感の描写・・・がまたグッと来る仕上がりになっていたと思います
人間は人間で、感情の動物だからそれこそ仲間を失った時の悲しみや苦悩は他の動物とは比較になりません
このパーティも、何度も躓いて、何度も遅れを取って、何度も衝突を繰り返したけれど
でも、最終的にはみんながみんなを思い遣れる関係性にまで進化した
メリイも、笑顔で「また明日」って言えるようになった
そのカタルシスは、
正直すっごく大きいもので
文句の付けようがない“結実”を見せてもらったなあ・・・というのが個人的な本音ですね。
打ち解けるまで時間がかかっても、
成長するのに時間がかかっても、
一つになるのに時間がかかっても、
それでも「このパーティだからこそ」の充足感も間違いなくあると思います
それは他の何もかも上手く行って主人公達とは遥か先の地平を歩いている連中から見たら
とても滑稽で、評価するに値しない歩みなのかもしれない
だけど、ハルヒロ達はきっと分かってる
理解してる
自分達にはスマートに生きれる器用さも、間違いなく生きれる利口さも持ち合わせてはいない
そんな自分の弱さと立ち位置を認めて、それでも腐らずに歩いて行くある種の力強さのある作劇だとも思います
大分遠回りしたけど、大切なものも失ったけど、それでも「また明日」って笑顔を交わせる「今」がある事もまた現実ではあって。
何もかもが上手く行かなくても、致命的な失敗を犯しても、それぞれに足りない一面を持ち合わせていても
ちゃんと進み続ける限り、きっと成長は出来る。今の自分達を誇らしく思う事だって出来る。
そういった・・・とても現実的かつ地に足のついたメッセージ性を感じる事が出来たのが個人的に嬉しかったです
例え能力が他と劣っていても、限りなく不器用でも、それでも生きてるんだぜ、成長出来るんだぜ。っていう
そういう角度からの切り口が今となってはとても新鮮で、そこに魅了されている気も観ていて感じられた8話でもありました。
何よりも、このパーティは「7人」だって事を忘れずにいてくれたのが嬉しかったですね
メリイともちょっと距離が縮まって、何となく通じ合えた気もするけど
それでもマナトの事を忘れた訳じゃないし
忘れる訳もない
そこで語られた「(マナトのことを)知りたかったな」「時間が欲しかった」という正直な気持ちもまた秀逸で
ここでも観ていて泣きそうになってしまったんですが(笑 視聴者にとってもそれは同じ思いで
完璧に見えてたけど、本当は弱い一面があったのかな。とか
もしかして前の自分を覚えていたのかな。とか
色々気になるじゃないですか
だから余計に、ハルヒロ達の気持ちに感情移入出来て泣く手前まで心を揺さぶられてしまったのかもしれません
その後の「俺たち、いいパーティになってるだろ?」って問いかけと表情こそが
ここ数週の「再生」を描いて来たグリムガルがきっと目指していた“結実”であり
中盤に於ける最も大きなカタルシスの表現であった事は間違いない
失敗もしたけど、
迷走もしたけど、
結果的にはあの日敗北した思い出から一歩成長する事が出来たよ。
あの時とは違って、ちょっとだけマシになれただろ?俺たち。っていう
ハルヒロ達の心情が伝わって来るようで本作でも格別の名シーンだったと思います
メリイの気持ちも乗せて、伊達じゃなく本当の意味合いで「7人のパーティ」になったんだなあ・・・という気がして
観ていて何だか感動が止まらなかったですね。それを大げさに描くでもなく、自信満々に言わせるでもない
敢えて淡々と、それこそ演出上のアイテムだった雪のようにしんしんと素朴に描いたのも
きっと「灰と幻想のグリムガル」の“誠実さ”の一つだったんじゃないかなあ、、、と
個人的には思いました。
あの日から各々が各々の気持ちを抱えて、
それでも泥臭くここまで来た道のりを認めてくれるような「達成感」が確かにあった傑作回だと。
一歩一歩確実に、丁寧に編み物を編むような作劇の素晴らしさがここに来てより高まった印象ですね。
それは、きっとこういう作劇でしか得られないカタルシスなんだと思います。大好きです。
メリイもメリイで彼女のペースで段々と馴染みつつある
まだ上手くは笑えないけれど、それでも微笑みを他人に向けられるまで立ち直る事が出来た
それはある種の成長でもあり、これもまたここ数週描いて来たドラマの結実であるんでしょうね
散々メリイは笑わない、って強調されて来ましたからね。そんなメリイが笑い始めた。
それもまた大変価値のあるお話だったんじゃないでしょうか。
今期でも指折りにお気に入りのアニメです。