この10年間は、新たにシステムを組み上げて、音質アップを持続的に続けて来た。音質アップの基本は「音数」(情報量・解像度)の増加に有ると思う。音数は重要な管理指標と思う。
オーケストラの録音を再生して、バイオリンが何本鳴っているだろうか?2,3本しか聴こえないようでは、まだ初心者の部類と思う。せめて20~30本のバイオリンが聴こえる様にならないと面白くないと思う。一見単純だがこれがシステムの性能を判断する指標になる。まだ更に上の基準になると、弦楽器の質感が出て来る。弓でこすって胴鳴りが聴こえる様でないと本物ではない。
ピアノの独奏では打鍵音からユニゾンが聴き取れるほどの音数が欲しくなる。ピアノの1音には3本の弦が張られている。その3本の弦が一様の音には調整されていない。同じキーで有りながら微妙にハーモニーを作りだす様に調整されているのだ。それが聴こえ判る様になって来る。
JAZZではドラムの革の張り具合が判る様にならないと満足出来る演奏にならない。革の張り具合が判る為には、音のキレ・ヌケ・ノビを追求しなくてはならない。非常に敏捷にユニットが反応する事が求められる。加えてエネルギー感を伴う事が重要になって来る。
40年以上も前の事だが、Tr型プリメインアンプから真空管式のプリ+パワーアンプに移行した時に感じたが、「音の厚み」(音数)がまったく違う事に驚いた事が有る。音のキレやヌケ、低域・高域特性はTr型アンプの方が優秀だが、「音の厚み」は真空管式の方が数段上のサウンドだ。Tr型でも最近は音の厚みのあるアンプが出て来ているが、それでも良く出来た管球アンプには勝てない。管球アンプを中域に使いたくなる。
音質アップを続けて行くと「録音されたその場」の雰囲気が出て来る。演奏会ならその演奏会場と演奏(ステージ)が見えて来る様な錯覚が出て来るようです。