JBLの高級システムは「低域に38cmコーン型+中・高域にホーン型」を使ったシステムになります。その意味で云えば#4425辺りが最低ラインのシステムと思います。最近のJBLでは家庭志向が強まったのか「コンパクトにホーンをエンクロージャーに内蔵」したSPが多くなっている様です。
JBLの高級システムは低域にしろ高域にしろ「音が前に飛んでくる」のが特徴の様に云われています。確かにノーマルのJBL純正のSPではそういう傾向にある様に思います。実際に#375を使った私の3つのシステムでもその傾向でした。
自分で使った事の有る#375用ホーンは順にH93、ラフトクラフト製ウッドホーン、#2350、HL88、HL89、HL90と#2380。
まず初めにH93。このホーンはオリンパスにオリジナルで付いているホーン。ショートタイプのホーンで使い勝手は良いが、ホーンロードが短くストレートに音が飛んで来ます。音の拡散は期待できないホーンだと思う。何か無理やりオリンパスの箱の中に納める為に作られた様な感じです。1ヶ月使ってほとほと困りました。「むき身の刀のサウンドで耳を襲う」様な感じでした。エネルギー感がそのまま飛んで来ます。(at オリンパスシステム)
次に入手したのがラフトクラフト製ウッドホーン。結構厚みのある木製ホーンで、いやな音はしないのですが、音の拡散の面ではホーンの強度が高すぎて少なかった。コンパクトな大きさで扱い易かった点は良かったと思います。形状的にストレートに飛んでくる音が有り、このエネルギー感のコントロールが課題だと思いました。(at RCA箱システム)
その次に入手したのが#2350ホーン。このホーンはPAでバッフルにマウントして良く使われていました。私もまさにPA用のバッフルに組付けられたモノを入手したのですが、その箱が大きすぎて、ウーハーの箱の上に納まりきらないので、内部のホーンを取り出して、ノーバッフルで使いました。セッティングに非常に敏感で、ドライバーは中吊り、ホーン両側先端をピンポイントの「点受け」セッティングにして使っていました。この状態ですとホーン全体がストレスなく振動して、HL88(蜂の巣)の様な音の拡がり方をしました。ホーン開口面は広いのですが、ホーンの響きと相まって柔らかいサウンドが獲得できました。(at RCA箱システム)
#2350でサウンド的には不満はなかったのですが、全体のスタイルバランスの面で気に入らなかったので、HL90(お化けホーン)を購入して交換しました。
HL90(黒色)。このホーンはプロ用で#2395(灰色)と云うモノも出ています。どちらも「お化けホーン」と呼ばれています。このホーンは大きなウィングが特徴で、ホーン部分はパラゴンのホーンと同じく「楕円形」になっています。個人的にHL90と#2395は同じとは考えていません。同じ様にHL89(ゴールドウィング)も古い型537-509(H5039)が有り、こちらで比較した所、明らかに古いH5039の方が良い音がする。だからわざわざHL90を探して使っています。
このHL90は音の深みが有り、しかもキレが素晴らしく、#375にはベストマッチのホーンだと思います。しかもメーカー指定のセッティングがベストですね。(前後に脚が付いている)指向性も鋭くないので誰でもこのサウンドを獲得できる処も素晴らしいと思います。
これに対してHL88(蜂の巣ホーン)は、非常にコンパクトなホーンです。評論家のS氏さんの影響か?それとも特殊な形が受けるのか?設置スペース的に有利だからか? 一度は使われた諸兄も多いと思う。ただこのホーンはHL90程には誰にでも優しくはない。音の放射パターンは円形に広がって行くので一見良さそうに思われるかもしれないが、実際は「ショートホーン」の部類になると思う。安直に鳴らし出すと「ストレート」に音が飛んで来ます。耳に突き指す様なサウンドを出して来ます。アンプやケーブルで上手くコントロールしてやらないと安心しては使えません。上手く使えれば円形に広がる柔らかいサウンドにする事も出来ます。
HL90もHL88もヴァイオリンを苦にしません。HL89(H5039)ゴールドウィングは大きなアルミのウィングが特徴です。ハーツフィールドに使われた事で有名です。ハーツフィールドではゴールドウィングはバッフルに固定されてはいません。良くこのホーンをバッフルに取り付けられているのを見かけますが、ハーツフィールドの様に「ただ置いて有る」方がこのホーンから「響き」を音数として獲得できます。
私は自宅でこのホーンを使用していますが、#375+ホーンのセッティングはHL88、HL90と同じ原理でセッティングしています。一見するとバリバリのJAZZサウンドをイメージしがちですがゴールドウィングのアルミウィングはヴァイオリンが非常に良く鳴ります。