続きです。そろそろ終わらせます。
熊野権現、五衰殿のストーリーに出てくる999人の前妻と岩手は同一と考えてよいでしょう。999人の前妻には善財王との子供はできなかった。それは999人の前妻は若さを失っていると言えます。そして美しく生まれ変わり善財王に愛され子供を授かった五衰殿が許せなかった。それは女性の嫉妬こそがこの世で一番醜い事を伝えているのだと思います。
恋衣と五衰殿は無実の罪で、人としてはこれ以上無い様な悲惨な死に方をした。そして復活した訳です。これが仏教の獄受代苦です。仏や菩薩が人の地獄の苦しみを変わりに背負ってくれる行為です。
岩手の場合は確信犯です。勿論、声の出ない公卿の娘を思いやる気持ちがあったとは思いますが、罪も無い幸せの絶頂にある妊婦の腹を裂き生き胆を取り出しています。胎児の生き胆もです。これは間違いなく罪。岩手は罪を犯している。
岩手は幸せの絶頂にいる妊婦に嫉妬をしていた。自分が失った美貌と子供を産める若さに。そして自分が得られなかった愛する夫と子供との生活を妊婦たちは享受する。それが許せなかった。その憎しみ・嫉妬が殺戮へと走らせた。
そして自分の娘とその赤子、つまり自分の孫まで命を知らずに奪ってしまった。正気と狂気を繰り返す地獄の苦しみを味わった。最後に白真弓観世音の矢が胸を貫き命を失った。大いなる罰を受けた。罰を受けたのだから復活はしません。これが神道の受代苦です。
神道の神々は神自身が罪を犯します。それで罰を受けます。苦しみます。それで死ぬ神もいます。ストーリーの違いは有りますが、イザナギ命・イザナミ命、天照大神、スサノオ尊、手名稚命・足名稚命、岩長姫もそうなります。全部受代苦です。
瀬織津姫は受代苦の女神です。岩手の様に実際に罪を犯し苦しみ罰を受けて死にます。これは仏教から見たら悪に映ると思います。人も自業自得と思うかもしれません。だから悪魔・妖怪にされた。
更に私は役の行者の従者の後鬼は瀬織津姫だと思っていますが、密教の優位性を示すために従者に落とされたと考えています。
しかしそれは誤解で瀬織津姫は人間のために実際にご自身で罪を犯し、ご自身が人間の罪を背負い、ご自身が苦しみ、そして死んで行く。だから尊い反面、畏怖すべき存在だと思います。
そして神道の神は死んでも復活はしない。イザナギ命は黄泉の世界から生還していますが、イザナギ命は死んではおらず、死んだイザナミ命を追いかけて黄泉の世界に行っただけです。
死んだイザナミ命は既に黄泉の国で食事をしてしまったから戻れなかった事になっていますがカグツチ神を産んだ時に死んでいます。黄泉比良坂から戻れなかった。つまり神道の神々は永遠の命など無い。
そう考えると私は瀬織津姫が復活するとか、封印解除とかのスピリチュアルな考えは分からないですねぇー。あれはどう言う意味なのでしょう。神道の思想や受代苦的な考えを否定していると思うのですが・・・・・・・・・・。
瀬織津姫は神道独自の受代苦の女神です。それを仏教徒が自分たちの仏教の解釈で仏にした。それが五衰殿である熊野権現です。つまりオリジナルは神道の女神である瀬織津姫です。
弁才天は瀬織津姫であるとされていますがこれもそうです。瀬織津姫はインドから渡って来た弁才天であるサラスヴァティーでは無い。瀬織津姫がサラスヴァティー川に居た訳ではない。そして瀬織津姫の生まれ変わりなんてありえない。神道独自の受代苦からそう考えています。
私は瀬織津姫の源流にはアラハバキ神がいると信じているのですが、アラハバキ神への信仰が時の権力者により迫害された。それでカムフラージュ的に瀬織津姫が登場。更には弁才天やダキニ天として信仰が続いたと考えています。アラハバキ神や瀬織津姫がインド出身では無いと、この神道の受代苦の考えから信じております。
水神は山神の娘です。川は山から流れるのでそうなります。つまり水神は山神でもあります。
よく山神は女神で自身の姿が醜いために魚のオコゼを見せると喜ぶ。大笑いをすると言われています。それは瀬織津姫が人間的な考えを持っており、美しく若い女性に嫉妬するとの考えからではないでしょうか。
そして山は本来は女人禁制。山に女性が入ると祟りが起きる。それは女性の経血が穢れているからだとされています。
瀬織津姫を祭る神社も福島県の大瀧神社の様に元々は女人禁制だったケースが多いです。日本三大弁才天信仰の地である金華山も昔は女人禁制でした。これは女性は穢れた存在だから女人禁制と言う訳ではないと思えます。
神道の神々はその受代苦の考えから人間と変わらない罪を犯します。もしかしたら瀬織津姫は醜い老婆で、若く美しい女性に嫉妬するから祟りを起こす。だから女人禁制なのかも知れない。
私、瀬織津姫の源流だと思われる神社に、そう若くは無い女性を三名案内したことがありますが、警告としか思えない負の奇跡を見せ付けられました。またお湯の女神は未だに女人禁制が続いていおり、近年も禁を破って祟りが起きたと聞いています。
私、まだこの事例について考えが練りあがっていないので判断が付きかねています。どう言う事なのか今一判りませんが、とりあえず昔からの言い伝えは聞いておくに越したことは無いと考えます。
そして神道の神々は自分も罪を犯し罰を受ける。そして死ぬ。それが人との罪を背負うと言う事。それは人間にも当て嵌まる。
これは瀬織津姫を含めて神道の神々に対して感謝と畏怖の念を持たないと自分に及ぶ。祟りを受ける事になると考えます。それを肝に命じて生きていかなければならないと思います。
今の私にはその位しか分からないです。
ではでは。