ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「恐怖新聞」 つのだじろう

2007-12-05 09:28:19 | 
押し売りは嫌いだ。

なかでも嫌いなのが、政治思想や宗教などの特定の主観の押し売りだ。自分の信じる価値観を押し付けるな。しかも、性質の悪いことに、くだらないものほど熱心にやってくる。断る労苦を思うと、それだけで憂鬱になろうってもんだ。

だから、表題の漫画を読んだ時は、実に嫌な気分に陥った。書いてあることに、いかに価値があろうと、押し付けられるのは真っ平だ。読みたくないのに、雨戸を突き破ってまで配達してくる新聞とは、なんと性質の悪い悪戯なのだろう。しかも、代金は自分の寿命だという。そりゃ、逃げ出したくもなろうってもんだ。

なかでも厭らしいのが、姿を見せぬ配達人(幽霊だから当然だが・・・)だ。今風に言うなら、ストーカーなのだろう。要するに執着性が異常に強い変質者だ。

掲載されていたのは、週刊少年チャンピオンだと思うが、私はいつも主人公がこの悪夢から逃げ切れることを願っていた。願っていたのに、あの結末だ。以来、どうも作者つのだじろうが好きになれない。少年漫画としての基本原理からいえば、ハッピーエンドにすべきだったと思う。にもかかわらず、あの結末は、つのだじろう氏の意趣返しの感がある。どうも、本当はギャク漫画をやりたかったのに、編集部の強い意向でホラーものをやらされたので、ならば徹底的にホラーをと開き直ったような気がする。

多分、周囲から相当なプレッシャーがあったと思う。その同時期の連載「後ろの百太郎」では、一転して少年読者うけする漫画となっていた。私もこちらを好んで読んでいたくらいだ。後日談だが、当のつのだ氏も「後ろの・・・」を好んでいたようだ。

ところが皮肉なことに、インパクトというか、衝撃度は「恐怖新聞」のほうが上だった。実際、私の記憶に深く残っているのは、間違いなく「恐怖新聞」のほうだ。好きではないが、忘れ難い作品であるのは事実だ。それは嫌々ながらも、認めざるえない。事実、続編が描かれたのは「後ろの・・・」ではなく、「恐怖新聞」のほうであった。

キングやクーンツに代表されるホラー小説は、かなり好きなほうだが、陰湿なお化けとなると、やはり日本人のほうが上手かもしれない。最近は日本のホラー漫画やホラー小説が、ハリウッドでリメイクされて映画化されている。なんだか、ちょっと複雑な気分の私です。どうも胸を張って威張る気になれないんだよね。
コメント (10)
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