ヌマンタの書斎

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山口素弘の引退

2007-12-21 09:24:15 | スポーツ
はじめて見たのは、冬の高校サッカーだと思う。群馬代表の前橋育英高校の中盤の司令塔であった。非常にセンスのある選手だったと記憶している。東海大学を経て開幕してまもないJリーグの横浜フリューゲルスに入団した期待の若手であった。

しばらくは目立たない選手であったが、ブラジルからの助っ人セザール・サンパイオが入団した頃から、彼のパートナーとしてダブル・ボランチを組むようになり、そのバランサーぶりが注目を集めた。一言で言えばクレバーな選手だったと思う。

突出して足が速いわけでも、身体が強いわけではない。世界屈指の名ボランチであるサンパイオのプレーを間近で見て成長したとは本人の弁だが、たしかにそういった側面はあったと思う。

フランスを目指した加茂ジャパンでもボランチを勤めた。裏番長・名波と中盤のバランサー山口のいたおかげで、中田英は自由に動き回れた。あのプライドの高い中田も認めるクレバーな中盤の底を見事にこなした名選手だったと思う。あのジョホールバルのイラン戦は、山口の相手ボールのカットから中田英のシュートとつながり、最後は岡野の押し込みでの決勝点だった。

ある意味、きわめて日本的な選手だったと思う。その身体能力は際立ってはいなかったが、的確な判断と労を惜しまぬプレスで、格上の相手にも自由にさせない巧さがあった。ただ単に走るだけではない、考えて走るプレーの実践者であったと思う。

私個人としては、もし山口素弘がオシム監督の下で指導を受けていたらと思わずにはいられない。現・レッズの阿部やJEFの羽生らを見ていると、全盛期の山口だってあのくらい走れたぞと考えてしまう。今期は横浜FCでプレーしたが、往年のプレーはもはや無理だった。体力的に限界だったのだろう。やはり最後はJ1で選手生活を終えたかったのだと思う。

一番記憶に残るのは、フランス杯アジア予選での韓国戦だ。アウェイでの激戦のさなか、韓国ゴール前でふわりとボールを浮かせて、韓国のGKの頭上を越えたループ・シュートは、山口らしからぬ華麗な得点でした。シンプルで地味なプレーを身上とした山口の、技術の高さと冷静さをみせつけた素晴らしいプレーでした。

長い間、お疲れ様でした。次は指導者としての活躍を期待しています。
コメント (3)
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