痛いけど気持ちイイ。
足裏マッサージをご存知だろうか。私が初めて経験したのは、シンガポールの下町であった。ビンタン島へのツアーで知り合った現地ガイドの紹介で行ったのが、足裏マッサージ専門のお店だった。
「イテテテ・・・」と思わず悲鳴を上げるほど痛い。鋭い目つきの中国人男性の施術師が、自分のお腹の左右を指して、ここが悪いとジェスチャーする。思わず「え!?」
日本語を話せるガイドさんが、「あなた腎臓悪いヨ」と伝えてくれる。大正解である。なんで足の裏を突いて分るのかと不思議だったが、そのマッサージの後身体の調子が良くなったのは実感できた。
帰り道、ガイドさんがあの施術師はカンフーのマスターだと教えてくれた。なるほどと思った。格闘技は、つまるところ人体の破壊を目的とするから、必然的に人体の構造に詳しくなる。あれほど的確に、つぼを突けるのだから、その腕前はたしかなのだろうと推測できた。中国4000年、恐るべしである。
以降、腕のいい足裏マッサージの探すことを密かに趣味としている。現在、繁華街を歩けば、比較的簡単に足裏マッサージの店を見つけることはできる。しかし、腕のいい施術師に出会えることは稀だ。
この十年でわずかに2名だけが、私のお眼鏡に適う技量であった。いずれも台湾の男性で、残念ながら現在は日本にいないそうだ。
表題の本では、台湾からの殺し屋が登場する。日本ではプロの殺し屋は、フィクションの世界以外ではまずお目にかからない。少なくとも、私は見聞したことはない。しかし、中国にはたしかにいるらしい。
実は腕のいい足裏マッサージ師を求めて、いろいろ聞きまくっていたら、なにか勘違いをされたようで、強面の中国人のお兄さんたちに脅されたことがある。新宿歌舞伎町の裏手あたりの雑居ビルの奥に、いきなり引き摺り込まれた時は驚いた。二の腕を逆手に取られて、動こうとすると電気が走るような激痛を覚え、完全に押さえ込まれてしまった。
慌てて知り合いの中国人倶楽部のマネージャーの名前を出し、連絡させて怪しい者ではないことを証明してもらった。おかげで無事解放してもらったが、私を押さえ込んだ手口は、明らかに格闘技の技であったと思う。顔は見れなかったが、生傷だらけの太い腕と、気配を感じさせずに私の背後に立ったあたり、なにかの熟練者だ思う。
後でマネージャーから「センセイ、危ないことしちゃ駄目ヨ」とたしなめられた。お礼に寿司屋で奢る羽目に陥り、けっこうな出費となったが、命には代えられない。以来、足裏マッサージ師探しは、ほどほどにしている。
夜の新宿は恐ろしい。新宿鮫には頑張ってもらわんとね。
足裏マッサージをご存知だろうか。私が初めて経験したのは、シンガポールの下町であった。ビンタン島へのツアーで知り合った現地ガイドの紹介で行ったのが、足裏マッサージ専門のお店だった。
「イテテテ・・・」と思わず悲鳴を上げるほど痛い。鋭い目つきの中国人男性の施術師が、自分のお腹の左右を指して、ここが悪いとジェスチャーする。思わず「え!?」
日本語を話せるガイドさんが、「あなた腎臓悪いヨ」と伝えてくれる。大正解である。なんで足の裏を突いて分るのかと不思議だったが、そのマッサージの後身体の調子が良くなったのは実感できた。
帰り道、ガイドさんがあの施術師はカンフーのマスターだと教えてくれた。なるほどと思った。格闘技は、つまるところ人体の破壊を目的とするから、必然的に人体の構造に詳しくなる。あれほど的確に、つぼを突けるのだから、その腕前はたしかなのだろうと推測できた。中国4000年、恐るべしである。
以降、腕のいい足裏マッサージの探すことを密かに趣味としている。現在、繁華街を歩けば、比較的簡単に足裏マッサージの店を見つけることはできる。しかし、腕のいい施術師に出会えることは稀だ。
この十年でわずかに2名だけが、私のお眼鏡に適う技量であった。いずれも台湾の男性で、残念ながら現在は日本にいないそうだ。
表題の本では、台湾からの殺し屋が登場する。日本ではプロの殺し屋は、フィクションの世界以外ではまずお目にかからない。少なくとも、私は見聞したことはない。しかし、中国にはたしかにいるらしい。
実は腕のいい足裏マッサージ師を求めて、いろいろ聞きまくっていたら、なにか勘違いをされたようで、強面の中国人のお兄さんたちに脅されたことがある。新宿歌舞伎町の裏手あたりの雑居ビルの奥に、いきなり引き摺り込まれた時は驚いた。二の腕を逆手に取られて、動こうとすると電気が走るような激痛を覚え、完全に押さえ込まれてしまった。
慌てて知り合いの中国人倶楽部のマネージャーの名前を出し、連絡させて怪しい者ではないことを証明してもらった。おかげで無事解放してもらったが、私を押さえ込んだ手口は、明らかに格闘技の技であったと思う。顔は見れなかったが、生傷だらけの太い腕と、気配を感じさせずに私の背後に立ったあたり、なにかの熟練者だ思う。
後でマネージャーから「センセイ、危ないことしちゃ駄目ヨ」とたしなめられた。お礼に寿司屋で奢る羽目に陥り、けっこうな出費となったが、命には代えられない。以来、足裏マッサージ師探しは、ほどほどにしている。
夜の新宿は恐ろしい。新宿鮫には頑張ってもらわんとね。