人の血液から作られる薬が、血漿製剤だ。献血などされる血液から造られるが、もし肝炎のウィルスに感染している人の血液が混じった場合、血漿製剤の製造方法によっては、肝炎のウィルスが残ってしまう場合がある。
この肝炎ウィルス入りの血漿製剤から感染して、C型肝炎を発症してしまうことが起こった。このことは、当初は分らなかったし、誰も知らなかった。分ったのは70年代のアメリカでの研究の成果だ。旧・厚生省の役人たちはそのことを知りながら、十分な対策を採らなかった。だからこそ、薬害肝炎訴訟は国を訴えることとなった。
実のところ、人事とは思えなかった。私が難病の治療の過程で、大量の血漿製剤を使用されていたからだ。主治医も心配して、肝炎の検査を何度か行っている。幸いにも私は感染していなかった。
もし感染していたらと思うと、薬害肝炎の被害を受けた人たちへの同情の思いは強くならざる得ない。だから新聞報道を注意深く読んでいた。幸いにして、福田首相の決断により、議員立法での救済が昨日決まったようだ。肝炎が治るわけではないが、国が責任を認め、わずかではあるが金銭的救済がされるのはなによりだと思う。
それにしても、高裁判決以降も二転三転した救済手続き。今朝の産経新聞を読むと、その裏舞台が報じられていた。薬害肝炎訴訟の原告団と交渉していた与党対策プロジェクトチームこそが、その最大の阻害要因だったというから驚きだ。
プロジェクトチームは当然に厚生労働省の役人たちが参加して、主導権を握っている。彼らは一貫して、患者の一律救済を否定していた。対策費に10兆円かかると言い触れ歩き、原告団を誹謗して議員たちを説得していた。
弁護士出で頭のいい谷垣氏など、あっさり官僚の言いなりになっていた。しかし、実際の救済費用は200億あまり。多少増えることはあっても、役人の主張する10兆円には程遠い。原告団と直接会い、真相を知った福田首相も怒った。官僚を叱責してそして急遽、原告団の主張に沿うかたちでの救済案が作られることとなったと報じている。
官僚組織を守るためなら、嘘をつき事実を捻じ曲げる役人の本性を知る意味で、福田首相にはいい薬になったと思う。福田氏は頭のイイ人だと思う。そのため却って官僚を信じやすい。私は福田首相の欠点は、世論の動向や有権者の意見よりも、官僚の作成した、よくまとめられた資料を信じてしまうことだと思っていた。頭のイイ人によく見られる傾向でもある。
日本の政治は、官僚の協力なくして動かない。しかし、組織というものは、その組織が大きくなるにつれ、その組織の存在目的よりも組織の存続維持自体を求めるようになる。今回のケースでも、日本国民の健康福祉のために存在するはずの厚生労働省が、国民の福祉よりも役所の保護(責任とりたくな~い!)を優先したことの表れだと思う。
日本の与党政治家の役割は、官僚を如何に活かすかにかかっている。官僚に主導させれば、必ず前例主義が横行し、責任回避と先送りが慣例化して、小手先でお茶を濁す改革で終わる。
今回の薬害肝炎患者救済だって、もっと早く決着を付けることは可能だったはずだ。それが出来なかったのが福田首相の力量だと思うが、それでも年内に解決の道筋をつけたことは評価していい。
もし、現与党が民主党主導だった、おそらく官僚主導の決着に終わっていたのでないか。少なくとも旧・社会党と自民の連立の村山内閣なら間違いなく官僚主導で終わったと思う。次の衆議院選挙がどうなるか分らないが、少々不安に思わないでもない。
忘れちゃいけないのは、肝炎患者の社会復帰への支援。これはやって欲しい。個人差はあるが健常者の7割程度の労働なら可能なはず。行政の支援があれば雇用促進につながるし、単にお金を援助するより、働いてお金を得るほうが健全だと思う。
この肝炎ウィルス入りの血漿製剤から感染して、C型肝炎を発症してしまうことが起こった。このことは、当初は分らなかったし、誰も知らなかった。分ったのは70年代のアメリカでの研究の成果だ。旧・厚生省の役人たちはそのことを知りながら、十分な対策を採らなかった。だからこそ、薬害肝炎訴訟は国を訴えることとなった。
実のところ、人事とは思えなかった。私が難病の治療の過程で、大量の血漿製剤を使用されていたからだ。主治医も心配して、肝炎の検査を何度か行っている。幸いにも私は感染していなかった。
もし感染していたらと思うと、薬害肝炎の被害を受けた人たちへの同情の思いは強くならざる得ない。だから新聞報道を注意深く読んでいた。幸いにして、福田首相の決断により、議員立法での救済が昨日決まったようだ。肝炎が治るわけではないが、国が責任を認め、わずかではあるが金銭的救済がされるのはなによりだと思う。
それにしても、高裁判決以降も二転三転した救済手続き。今朝の産経新聞を読むと、その裏舞台が報じられていた。薬害肝炎訴訟の原告団と交渉していた与党対策プロジェクトチームこそが、その最大の阻害要因だったというから驚きだ。
プロジェクトチームは当然に厚生労働省の役人たちが参加して、主導権を握っている。彼らは一貫して、患者の一律救済を否定していた。対策費に10兆円かかると言い触れ歩き、原告団を誹謗して議員たちを説得していた。
弁護士出で頭のいい谷垣氏など、あっさり官僚の言いなりになっていた。しかし、実際の救済費用は200億あまり。多少増えることはあっても、役人の主張する10兆円には程遠い。原告団と直接会い、真相を知った福田首相も怒った。官僚を叱責してそして急遽、原告団の主張に沿うかたちでの救済案が作られることとなったと報じている。
官僚組織を守るためなら、嘘をつき事実を捻じ曲げる役人の本性を知る意味で、福田首相にはいい薬になったと思う。福田氏は頭のイイ人だと思う。そのため却って官僚を信じやすい。私は福田首相の欠点は、世論の動向や有権者の意見よりも、官僚の作成した、よくまとめられた資料を信じてしまうことだと思っていた。頭のイイ人によく見られる傾向でもある。
日本の政治は、官僚の協力なくして動かない。しかし、組織というものは、その組織が大きくなるにつれ、その組織の存在目的よりも組織の存続維持自体を求めるようになる。今回のケースでも、日本国民の健康福祉のために存在するはずの厚生労働省が、国民の福祉よりも役所の保護(責任とりたくな~い!)を優先したことの表れだと思う。
日本の与党政治家の役割は、官僚を如何に活かすかにかかっている。官僚に主導させれば、必ず前例主義が横行し、責任回避と先送りが慣例化して、小手先でお茶を濁す改革で終わる。
今回の薬害肝炎患者救済だって、もっと早く決着を付けることは可能だったはずだ。それが出来なかったのが福田首相の力量だと思うが、それでも年内に解決の道筋をつけたことは評価していい。
もし、現与党が民主党主導だった、おそらく官僚主導の決着に終わっていたのでないか。少なくとも旧・社会党と自民の連立の村山内閣なら間違いなく官僚主導で終わったと思う。次の衆議院選挙がどうなるか分らないが、少々不安に思わないでもない。
忘れちゃいけないのは、肝炎患者の社会復帰への支援。これはやって欲しい。個人差はあるが健常者の7割程度の労働なら可能なはず。行政の支援があれば雇用促進につながるし、単にお金を援助するより、働いてお金を得るほうが健全だと思う。