ヌマンタの書斎

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イエニスタのヴィッセル移籍

2018-06-01 11:59:00 | スポーツ

世界的にはビックニュースなのだが、日本では少し温度が低いように思う。

それがスペインはリーガエスパニョーラの二強の一つ、バルセロナFC生え抜きの名選手であるアンドレア・イエニスタのJリーグ移籍である。楽天がオーナーであるヴィッセル神戸に加入する。

今のJリーグには、大物外国人が少ないので、たいへんに良いことだと思います。イエニスタ選手は、身体が大きい訳でもなく、走るのが速い訳でもない。メッシのような爆発的な得点力もないし、C・ロナウドのような超人的な身体能力もない。

むしろ日本人なみの体格のせいか、当たりに弱い。しかし、サーカー選手としての能力は世界トップレベルである。地味なプレーが多いので気が付くのが遅れるが、彼のワンプレーは試合の勘所を押さえたものだ。

その正確なミドルパスが試合の流れを変えて、勝利を導き出す。その正確な位置取りが、バランスの崩れかかったチームの意識を変える。バルセロナでも、スペイン代表チームでも欠かすことの出来ない稀有な能力の持ち主であった。

白状すると、私では彼の本当の才能の一部しか理解できない。分かるのは、彼が上手いだけではなく、試合に勝つためのプレーが上手いことだけだ。

まだ日本のサッカーが、世界を仰ぎ見ていた時代。当時から日本ではサッカーの模範をブラジルと西ドイツに求める人が多かった。またマラドーナの影響もあり、アルゼンチンも評価が高かった。

一方、玄人筋ではスペインサッカーに憧れる人も少なくなかった。あの頃、世界のサッカーを見せてくれる数少ない番組に、「ダイアモンド・サッカー」があり、そこで放送されるダイジェストの試合の中でも評価が高かったのが、スペインの強豪チームであるバルセロナであった。

またスペイン代表のチームの試合も、わりと人気が高かった。ブラジルほどの技巧はなく、西ドイツほどの激しさもない。イタリアのような守備の堅さもなければ、イングランドのような逞しさもない。

しかし、スペインのサッカーは華麗だった。ドリブル、パス、シュートと流れるような試合運びは芸術的にさえ感じた。どの選手も上手かった、本当に上手かった。でも、ワールドカップでの優勝はなかった。ベスト8の常連ではあったが、なぜか勝てなかった。

その美しいサッカーで勝って欲しいと思いながらも、勝ちきれないスペインのサッカーは、当時から日本人の心根に響くものがあったように思う。当然ながら、ワールドカップで優勝できない悔しさは、誰よりもスペイン国民すべてが感じていたはずだ。

自らのサッカースタイルに誇りを持っていたスペインは、安易にスタイルを変えることはしなかった。基本的なプレーを徹底的に磨いた。密集地帯でのドリブルとボールキープ、走りながらのトラップ、全体を見渡すような視点で的確なパスと、正確なシュート。

決して派手ではないが、凄まじいほどの技術が秘められた基本的なプレーが花開いたのは、2008年のユーロ大会と2010年のワールドカップであった。いや、2000からの10年間は、まさにスペインの黄金期であった。

その黄金期のスペインサッカーのシャビらと共に中盤を支えた名プレイヤーが、今回日本にやってきたイエニスタである。決して得点力のある選手ではないから目立たないけど、彼が中盤にいるならば、必ずや決定的な場面を作り出してくれるはず。

地味だけど決定的なプレーを演出する達人がイエニスタである。是非とも一度は観て欲しい選手なのです。っつうか、私も観たいぞぅ。

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