ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

突然の訃報

2015-10-23 11:58:00 | 日記

哀しみより先に、行き場のない、やりきれなさが辛かった。

夕刻、携帯に届いたメールに思わず絶句した。ブルの訃報であった。

Burunoanaこと、ブルは同世代の友人で、AOLの異業種交流サークルで出会った。掲示板に書き込まれた文章も面白かったが、なにより本人が面白かった。最初にリアで会ったのは、新宿でのオフ会であった。

ハンドルネーム(AOLではスクリーンネームといった)の由来は、最初に設定するとき悩んでいたら、庭で飼い犬のブルース(シベリアン・ハスキー)が穴を掘っていたので、ブルの穴と付けたと語り、笑いを誘っていた。

なによりも皆を驚かせたのが、酒の注文の仕方。いきなり「ウーロン杯、5杯お願いね」と頼み周囲を唖然とした。なんでも、いちいち頼みなおすのが面倒なので、まとめて頼むとか。それでいて、呑んべいの印象が薄いのは、呑み方が快活で明るい話題の多い人柄からだろう。

存在感のあるオジサンで、どこにいても周囲に人を集める人望もあったと思う。転職の多い奴であったが、不思議なくらい求職には困っていなかった。天性の営業マンで、会社に云われたら何でも売るのが営業だと豪語する。

そのかわり、納得がいかなければ会社を辞めることも辞さない。それでいて、辞めた会社から「戻ってきてくれ」と転職先に連絡があるのだから、その実力はたいしたものだ。中高年の転職の厳しさなんて、この男に関しては無縁であった。

3年前、私が急性の心筋梗塞で入院して、退院してすぐに仕事に戻ったら「心筋梗塞を舐めちゃダメだ。もっと静養につとめろ」と言っていたくせに、自分自身は、医者から検査を云われても、先送りにしていたらしい。

8月だと思うが、mixiで心臓に異常があると医者に云われたと書き込んでいたので、すぐに検査しておけよと返信しておいたのだが、どうも行かなかったらしい。その挙句に、朝方に急死したようだ。

訃報を知った時、思わず「馬鹿野郎!」と怒鳴りたくなった。

まだ50代前半の働き盛りだろうに。まだまだやりたいことも沢山あったろうに。子供がいない夫婦ではあるが、奥さんを残してどうする気だ。まだまだ言いたいことはあるが、その言葉はもう届かない。

たしか、親父さんの葬儀は無事終えたと言っていたが、なにもすぐに親の後を追うことはあるまい。早すぎる、早すぎるぞ。ここ数年、お互いに多忙で、なかなか飲むことも出来なかった。最後に飲んだのは、江戸川の花火大会で、炎天下の河原で昼間から夕刻まで延々と飲み、語り合ったものだ。

もうあの「ウーロン杯、5杯」を聞けないと思うと、無性に寂しいではないか。今夜は珍しく一人で、ウーロン杯でも飲みましょうかね。

追記 昨夜お通夜に行ってきました。乾電池夫妻とも久々の再会。平日の、しかも房総半島の先端近くの遠隔地ではありましたが、席が足りなくなるほどの参列者の数でした。ただ、その最後の姿は私の記憶よりも一回り小さい。痩せたとは聞いていたけど、それよりも、やつれた印象が強い。リアでは5年以上会っていなかったが、mixiなどを通じて交流はあった。

読んで笑えるような快活な書き込みが多かったが、その最後の姿を見ると、相当なストレスを抱えていたように思えてならなかった。本当に辛いことは、決して口外しない奴でもあった。奥様の、にゃじさんが気丈に振る舞っていたのが辛かった。きっと、いろいろあったのだろうな。

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軽減税率の憂鬱

2015-10-22 12:32:00 | 経済・金融・税制

本音は面倒くさLい。

麻生財務大臣が言い放った科白だが、間違いなく本音であり、珍しく私も同感できる。

ただ、真面目に考えると、面倒くさいで済ませていい問題ではない。消費税の軽減税率の導入の流れは加速する一方で、財務省の幹部も本音はともかくも、導入止む無しとの姿勢をみせている。

財務省はスーパー官庁であり、大蔵省時代から首相官邸以上の権力者と云われたはずだが、世論の動きを背にした政治家には従わざるをえないのだろう。思うに野田・自民党税調会長の更迭が決め手であった。あれは首相官邸からの最後通牒に等しいものではなかったのだろうか。

財務省は、配布される資料を横流しするだけの記者クラブ詰めの新聞、TVはもちろん、霞が関寄りの経済評論家などを駆使して、さかんに軽減税率に反対していた。

しかし、このまま消費税を10%に上げることはマズイと判断した政治家の意向を気にしていたのも確かだ。だからこそ、あのマイナンバー普及を込みにした、おかしな還付制度を持ち出したりしたのだろう。

だが、その姑息な誤魔化しが、むしろ政治家の怒りを買った。だからこそ、大蔵省出身の野田氏を税調からはずし、間接的に財務省を威圧した安倍政権に屈したのだろう。

それでも、本音は軽減税率なんてやりたくない。その意を汲んだ麻生大臣の放言だと思う。あのざっくばらんな言い方の麻生氏だから、放言的な軽さを感じるが、税の現場で仕事をしている私からもみても、やはり軽減税率は面倒くさい。

まず、なにが軽減税率の対象なのか、それをどのように判別するのか。インボイスは時間的に間に合わないので、現行の領収証等で代行するのか、それとも別のやり方を導入するのか、

今でさえ消費税の処理は面倒なのに、これ以上複雑化すると顧問料の値上げを検討せざる得ない。消費税を払っているのは消費者だが、その申告納税は、消費者から代金を受け取った事業者、すなわち消費税の納税義務者に代行させる仕組みとなっている。

だから、普通の消費者にはその面倒くささが分かりづらい。税務の現場において、中小企業とりわけ零細企業の会計に携わる私にとっては、企業に代わって会計帳簿を作ることも少なくない。

それゆえに断言できてしまう、面棟Lいと。最低でも、なにが軽減税率の対象なのかを明示してもらわねば、とてもじゃないがまともな消費税の計算は出来ない。現行の領収証などでは、正しい判断は難しい。

おそらく、現行の方式でやれば、相当な数の間違いが発生する。その間違いが発生した場合の責任はどうなるのか。そもそも間違いやすいような制度で、まともな税務行政が可能なのか。どう考えても、かなりの間違いが生じる事請け合いである。

以前、研修で聞かされたのだが、イギリスでは大型間接税の軽減税率の対象を決めるのに5年間国会の特別委員会で審議し、施行後もその検証で10年の歳月を費やしている。

それだけの準備と実施後の見直しをしているにも関わらず、非常に不満が多く、見直しが叫ばれているのが大型間接税における軽減税率なのだ。悪いことは云わないから、今からでも遅くない。

消費税の増税は、今少し延期すべきだと思うぞ。

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ファンタステック4

2015-10-21 12:34:00 | 映画

少し複雑な気分になった。

ここ最近のハリウッドのお得意は、昔人気のあったアメリカン・コミックの実写化である。ファンタステック・フォー、通称F4もその例にもれず、既に二作がCGを駆使して実写化されている。

その三作目としてではなく、F4の誕生の経緯を、よりリアルに主題として取り上げたのが、今回の映画であった。三作目ではないことが、一つの肝だと思ったのは、予告のポスターに、ファイヤー・トーチであるジョニーに、黒人俳優を採用する一方で、その姉である透明ガール・スーは白人女性の俳優であったことだ。

これだけで、この映画が興行成績の向上を狙ったリメイクだと分かる。現在の映画製作には莫大な資金が必要となる。その資金需要に応じているのが、ファンドと呼ばれる集団投資家である。

彼らは映画コンテンツに投資して、そのリターン(見返り)から利益を得ることを目的としている。だから、その映画が売れることが目標となる。オリジナルのアメコミでは、F4は白人4人から構成されるが、それでは有色人種からの支持は得にくいと判断したのではないか。

原作のアメコミはもちろん、既に実写化されたF4の映画では、ファイヤー・トーチのジョニーは少し軽いというか、チームの輪をかき乱す問題児でもある。そこが魅力でもあるのだが、今回の映画では、その基本は抑えてあるものの、従来のジョニーに比べると大人しめというか、あまり問題児ではない。

姉のスーは、コソボ難民の養子という設定になっているが、どうも姉弟としてのイメージは薄い。また岩石男(ザ・シング)であるベンの描き方も、少し軽いというか、あれではハルクである。

もともと、原作のアメコミでも、F4の四人組は悩み多きヒーローなのだが、それを吹き飛ばす爽快な暴れっぷりが魅力でもあった。ところが、今回の映画では、各人の悩みの描き方も中途半端だし、娯楽作品としての爽快さにも物足りなさが残る。

正直、あの2時間あまりの短時間では、F4の魅力が描ききれてないと感じる物足りなさが目立つ。どちらかといえば、TVドラマにして毎週放送したほうが良かったような作品となっている。

実写の三作目ともなると、どうしても比較してしまう。そして残念ながら、比較しなくても物足りなさが残る。私の勘繰りだけど、多分TVの連続シリーズを念頭に置いたようなシナリオが、この作品の大きな欠点だと思う。

そんな訳で、あまりお薦めできないのが残念な作品でした。

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今、求められる経済政策とは

2015-10-20 13:02:00 | 経済・金融・税制

現時点におけるアベノミクスと称される、安倍政権の経済政策に対する私の評価は55点だ。

円安による輸出増大と株価を押し上げ、上場企業を始めとしての法人税減税の効果は確かにある。それは認めるのだが、一方実質賃金はたいして増えてない。それどころか目減りしているのが実情であろう。

もっと言えば、一般家庭の実質的な所得は確実に下がっている。当然である。消費税の増税は、確実に家計を圧迫している。いくら法人税を下げても、直接税である所得税と住民税が下がらなければ景気浮揚効果は薄い。

おまけに毎年のように社会保険は上がっている。厚生年金、健康保険、労働保険は上がりっぱなしであり、必然的に手取りの金額は下がる。そして、消費税が8%に上がっている以上、誰だってお金を使うのを躊躇うではないか。

消費税という大型間接税を上げた以上、直接税(法人税、所得税、住民税)を下げなければ、増税感ばかりが引き立つのは当然だ。それなのに、政治的発言力が強い大企業の声を反映した法人税減税だけを行っているのだから、個人消費が冷え込むのは必然となる。

現時点で判断する限り、アベノミクスの恩恵を受けているのは大企業と、投資家であろう。それと円安により日本を訪れた観光客増加によるメリットを受けた一部の業者であろう。

つまり、大企業でもなく、投資もやらない、観光業でもない一般国民、中小企業には、アベノミクスの恩恵などまるで実感できていないのが実情だと思う。にもかかわらず、自民公明連立政権への大規模な批判は、いくらマスコミが煽動しても起きていない。

これは先の民主党政権があまりにひどかったので、あの時よりもマシだと諦念しているのかもしれない。まともな野党が存在しないことが日本の不幸だと、つくづく思わざるを得ない。

私は安倍内閣の外交は、かなり高い評価をしているが、国内政策にはかなりキツイ評価を下さざるを得ない。大企業と大口投資家だけが恩恵を享受する経済政策でいいと思っているのか。

それとも、内政の手抜きを外交で誤魔化しているのか。内政も外交もダメだった前政権よりもマシだが、そろそろ本気で国内政策に取り組んで欲しいと思う。

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プロレスってさ 大木金太郎

2015-10-19 12:08:00 | スポーツ

物騒な世の中である。ニュースなどを見ていると、たいしたことない理由で争いが起きたり、僅かなお金で強盗事件が起きたりしている。

そんな世の中で、吾が身を守る最大の術は観察力だと考えている。要するに「君子、危うきに近寄らず」を実践するのが一番の安全策だ。まず危ないとされる場所には近づかない。次に危ない状況になりかけているのを察知し、素早く回避する、もしくは逃げる。

全て、早め、早めの判断と決断が重要で、一番良くないのはパニックになり、慌てることだ。中途半端な決断も良くない。逃げることを恥じず、さっそうと逃げ出す。これに勝る防御法はない。

だが、逃げられない時もある。避けられない時もある。謝って済まない時もあれば、戦わざるを得ない時だってある。脳内瞬間湯沸かし器を装備した私でも、この年になると、避けられる争いは可能な限り避ける。逃げられるならば、臆面もなく堂々と逃げる。

しかし、どうしようもないこともある。戦わねばならぬ時は、絶対にないとは言えない。いつあるかも分からない。そんな時は、可能な限りダメージを負わない戦い方をする。いや、はっきりと云えば、無様な守り方をする。

胸の上部や、肩、背中など打たれ強いところを打たせ、頭や咽喉、急所などは可能な限り隠す。亀のように丸くなるのが理想的だ。勝ち目のない相手ならば、そのほうが、いかに無様でもいい。生き延びること、それを第一に考えるべきだ。

ただ、稀にだが勝てそうな相手の時もある。主に素人が怒りだけで攻撃してくる場合だ。そのような時は、反撃しておいてから逃げる。いわば勝ち逃げだ。その際に使うのは、決まって頭突きである。

格闘技の素人が、いくらポーズを決めてストレートパンチやフック(一番、KO率高し)を使っても、せいぜい拳を痛めるだけで、たいして役に立たない。また間違っても蹴り技はダメだ。素人の蹴り技なんて自滅の道。

だが、頭突きは誰にでも出来るし、意外なほど当たる。至近距離で、これほど威力のある攻撃はない。一番効果があるのは、顔の中心、つまり鼻なのだが、これは案外と難しい。何故って相手の怒っている顔を直視することになるからだ。

私が狙うのは、いつもお腹の真ん中。いわゆる横隔膜がある部分を狙う。謝る振り、または倒れるふりをして、身体を低くかがめ、相手の蹴りに注意しつつ、その腹めがけて両足をたわめて、おでこからぶつかっていく。素人相手なら、まず外すことはない。

また当たれば必ず相手は、うずくまる。その間に逃げる。うずくまる相手をボコるのは止めた方がいい。後で警察沙汰になった時に不利になる。このへんがこ狡いオジサンの厭らしさだろう。

息を切らせて交番に駆け込むもよし、交通機関に飛び乗るも良し。とにかく逃げろ。素人が喧嘩で勝つことを目的にしちゃいけない。あくまで無事に生き残ることを考えるべきだ。

このことを私に教えてくれたのは、20代の頃に長期入院していた病院で知り合った某右翼団体の幹部だと称する人だった。小柄だが怖い感じが漂う人で、それだけにニコッと笑った時は魅力的な男性だった。

彼の額には、いくつもの傷が刻まれていて、なかには刀傷ではないかと思われる痕もあった。普通の入院患者が敬遠するなか、私はわりと無邪気に彼に話しかけていたので、けっこう可愛がられた。

だから、その額の瑕について聞いてみたら、返ってきたのが頭突きの話であった。私もけっこう使う技であったが、素人は無事逃げるために使えとの話には、大いに肯けるものがあった。やはり修羅場を潜った人の言は重い。

ところでプロレスで頭突きといえば、一番はボボ・ブラジルが印象深いが、今回取り上げる大木金太郎も外せない名手だ。片足を大きく振り上げて、降ろす反動で頭突きをぶち込む、一本足頭突きが有名だ。

しかし、私が見たところ、一番効果があったのは、至近距離からゴツン、ゴツンと地味に打ちつける頭突きであった。あの頭突きには見覚えがある。多分、コリアの人だと思っていた。

私の通った中学校の隣には、朝鮮学校があり、また韓国人居留区も近所にあったので、あの頭突きの痛みは身体が覚えている。あれは本当に効いた。十代前半のガキどもの、じゃれ合うようなケンカでも、あの頭突きは必殺技に近い威力があったと思う。

その記憶があったので、正直あまり好きなプロレスラーではなかったが、強さは認めていた。馬場も猪木も、あの頭突きの連打を受けると、一様に膝を屈して痛がっていたものだ。

ただ一本気過ぎたのか、敵も多かった。柔道日本一の経験もある坂口征二とは、日本プロレス解散時の諍いから、まともなプロレスの試合にならず、いつも壮絶な喧嘩マッチとなっていた。

坂口は本気でやれば外人レスラーも恐れる実力者であるが、遺恨がある相手だとまともにプロレスをやらない悪癖があった。その坂口の猛攻をしのいで、逆襲に転じて坂口を血だるまにするあたり、大木も実力者であることは間違いない。いや、むしろプロレスラーとしてのプロ意識は大木のほうが強かったと思う。私のみたところ、大木には試合を作ろうとする意識が見受けられたからだ。

大木の試合は、頭から出血するものが多かった。相手レスラーが大木の頭突きを嫌って、場外乱闘などで大木の頭を鉄製のャXトに叩きつけたり、アルミのパイプ椅子で、頭を滅多打ちにするからだ。

だから、大木というと、頭から出血しながら試合をしているイメージが強い。プロ意識の極めて強いプロレスラーであったと思う。ただ不遇の人でもあった。力道山の後継者は自分だとの思いはあったようだが、人気で馬場に及ばず、試合では巧者の猪木に丸め込まれ、どうしてもエースには成り切れなかった。

それでも母国である韓国にプロレスを根付かした功労者であり、英雄視されてもいた。ただ、郷里は日本との意識も強く、結局母国には居つかず、日本の地で生涯を終えている。

頑固で一本気な昔気質のプロレスラー、それが大木金太郎であったと思う。

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