この辺りでも、 山桜が清楚可憐な花を咲かせるようになった。春は花、秋は紅葉と、この山桜の木は年に二度その存在を主張し、後はいたって控え目に他の樹木の中に紛れてしまっている。白樺やコナシはもう少し先になるが、他の木々も次々と新緑の衣をまとい、それぞれが同じ緑の色でも微妙な違いを最大限主張しつつ、それでいて全体としては協調する、そういう「山笑う」時期が来た。
今日も山室川の流れる狭い谷を来れば、ケヤキ、落葉松、ブナ、カシワ、白樺、ナラ、ヤナギなどの新緑が朝の日に輝き、またそれに対抗するかのようにハナモモと山桜が赤や桃色の色を目立たせ負けずに存在感を示していた。ことに山桜などはこの木には珍しく、爆裂したように新緑の中に薄赤い色を散らせて見事だった。
しかしその中で赤松だけは、この木が一本か二本だけで突っ立っていたりすると、周囲の雰囲気をすっかり駄目にしてしまう。そういう気がする。まるで一年中風采の上がらぬ薄汚れた衣でも身に着けているようで、周囲と溶け合えず浮いた存在に見える。同じ常緑樹でもヒノキやスギはそうでもないから、ということは葉のせいだけでなく、赤茶色の樹幹の色もその責めを負うべきかも知れない。秋になれば待望のクロッカワを育て、マツタケで人を狂わせる木でもあるのだから、これ以上悪口は言わないでおこう。
かんと氏は昼を少し過ぎたころから、天体撮影の準備を始めた。空は一点の雲もない五月晴れ、快晴。珍しい、不思議だ。もしかすれば、後からやってくるTBI氏が晴れ男なのだろうか。
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