入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’18年「冬」 (14)

2018年01月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 こういう傾向は、今後も続くだろうと思っていた。世界遺産と観光、そしてそれを地域の活性化につなげようとする考えである。ところが一昨日、ユネスコは「むやみやたらに(世界遺産に)登録しないほうがいいと思っている」と言い出した人を新聞で知った。15日付の毎日新聞のオピニオン欄で発言した、屋久島町の町長である。屋久島も25年前に初めて登録されている。
 町長の考えに同感である。世界遺産の趣旨は、「守り、残す」ということであって、それを利用した観光開発が目的ではない。「いま島にあるものを体験するために来てくれる人こそ屋久島の本当の魅力を分かってくれる人だ」と言って、島の宣伝活動をより活発化させることや、有名な縄文杉までの「往復約10時間かかる」登山路についても、現状を変える考えはないようだ。「私は時間がかかるからいいと思っている」と発言して憚らない。これまた同感である。地域の活性化などという掛け声に浮かれ、観光客目当てに何事か目論んでいるどこかの〝畑違いの人たち"にも、是非聞かせてやりたい。
 ユネスコなどという国連機関の肝いりで人が来るようになって、守るどころか、自然や文化遺産が傷付けられ、犠牲にされてまでも観光や経済を活発化させようとするなら、それは本末転倒ということにならないか。外国人観光客が4兆円を落としてくれても、それを手放しで喜んでばかりいないで、「おもてなし」もいいが、この先の対策も必要になるだろう。
 そもそも彼らはいったい、日本の何に惹かれて来るのか、それさえもよく分からない。充分な調査がされているのだろうか。ここにきて、急に日本の人気が高まった理由を充分に分析・検討し、その影響についても注視していくべきだと強く思う。また、ユネスコなぞの各種の規制で、古くから地元で暮らす人たちが窮屈で、不便な思いを余儀なくされ、ある登録地なぞ、トイレ、ゴミ、車だけでも大問題で、人々の暮らしからとっくに静穏が消えてしまったと聞く。
 世界遺産に登録されたというだけで、その価値や保護について考えもせずにゾロゾロと押し寄せるような人たちを迎え、貴重な自然や文化遺産が安泰であるはずがない、などと言ったら言い過ぎだろうか。
 明日、もう少し。

 2月の3連休10、11、12日は、まだ充分に余裕があります。2月は3、4、5と日と17、18、19日予約あります。この間及びその前後でしたら、少人数でも受け付け可能です。お問い合わせください。

 冬季の営業については以下をクリックしてください。「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。
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    ’18年「冬」 (13)

2018年01月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ふう、と森が息を吐いた。落葉松の枝に付いていた新雪が舞った。木々の間から射し込む朝の光の中に、銀の幕となって輝くそこへ人の影が浮かんだ。やがて2頭の鹿を引きずった3人の猟師が現れ、笑い声に混ざり話し声も聞こえてきた。犬は連れていなかった。声が止み、すぐに獲物の解体が始まったらしい。
 鹿は切り刻まれ、腿と背ロースだけが抜かれ、その他は臓物も毛皮も一緒くたにされクマササの藪の中に捨てられた。そうやっておけば、森の掃除役であるキツネやタヌキ、穴熊などが喜んで片付けてくれることを知っているのだ。
 手早い仕事が終わると、彼らは林道の脇に停めてあった3台の軽自動車に乗って、何事もなかったかのように立ち去った。白い雪の上に、夥しい量の赤い血だけが残った。
 
 森には鹿が増え過ぎた。雪の山の中で越冬する鹿の、その群が残した足跡があちこちに残っている。来る時、牧場の中に入った途端に、大沢山の西斜面で30頭くらいの鹿の群れを目にした。
 あの鹿たちは、前足で雪をどけ、その下の草を食べる。人影や車に驚き逃げるときは、有刺鉄線を美しい弧を描いて飛び越すのに、それでもどういうことか牧柵をよく切る。鹿のように群れを作る動物は、群れのために犠牲になることを厭わぬ鹿がいて、身を傷めても張り巡らされた有刺鉄線を切るのだろうか。そうとでも考えない限り、鹿たちは、紐でも切るように頑丈な針金の牧柵を切ってしまう。
 冬の荒海を頼りない小舟に乗って、生命を賭けてでも出漁しなければならないあの国の人たちにも似て、鹿も危険な牧場で飢えながら、か細い生命を繋いでいるのかも知れない。

 KNIさん了解しました。こちらは種平さんらと、歩いて登る予定です。種平さんと言えば昨日、誘われてスキーに行ってきました。実に良い運動になり、止められません。

 2月の3連休10、11、12日は、まだ充分に余裕があります。2月は3、4、5と日と17、18、19日予約あります。この間及びその前後でしたら、少人数でも受け付け可能です。お問い合わせください。

 冬季の営業については以下をクリックしてください。「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。
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